拡散する本棚
牧田実夕
袋井市に新しい図書館を設計する中で、公共図書館について考えた。図書館とは知恵を得るための施設だと考える。勉強や読書など知恵を自分のものとする行為がされる場所だ。だが、読む書くだけでは知識は浅い。実際の活動をすることで自分の知識となると考えた。新しい図書館としてモノづくりの図書館を提案する。静岡県はモノづくり県で有名であり袋井市の彫刻の街としてのシンボル的な図書館を設計する。様々なら活動で溢れてある図書館では本棚が活動を更に発展させる。その活動の幅を広げ、活動と活動、活動と場所、活動と本、というように出会いを広げ生活を豊かにしていく。本棚の高さや幅、空間の広さによって様々な空間が生まれ、森の中を歩いているような散策性が、生まれる。
教員講評
本棚自体を構造体として、本棚で空間を埋め尽くしてしまう案は、典型的ともいえる。しかし、この作品は、本棚の配置によりいくつかの広場を構成し、広場に展開する活動と本の種類を相関させたところに妙がある。さらに、本棚は高さを変え断面方向にも多様な空間を生み出す。また、外部に伸びた本棚は、敷地外部や公園に対し開かれた図書館のあり方を提示している。図書館自体がサードプレイスとして市民活動と対になることを示すよく練られた案だ。(田井)