[3年]建築設計B1 第1課題

集まって暮らす、働く

担当教員:佐藤健司/田井幹夫/八木佐千子/長谷川寛

課題内容

静岡市内に複数の人々が集まって暮らし、働く場を創造します。2010年を境に日本の人口は減少し始め、静岡市でも徐々に人口は減少し始めています。(静岡市HP)このような状況の中で、家族の形態や働き方そのものが変わりつつあります。大家族だけでなく、核家族ですらも住宅を考える上での一単位ではなくなってきています。家族自体も片親、子供のいない夫婦、一人暮らしなど様々な単位で暮らしている人々の割合は増えてきています。一方、血縁関係ではなくても場をシェアして暮らす「シェアハウス」も全国的に認知され始めています。このタイプでは暮らす人々全員で大家族を構成していると言えます。また、働き方も自由になり始めていると言えるでしょう。会社勤めばかりではなく、自宅で働く人、場所を持たずに転々と移動する人、場をシェアして時々協働する人など、働き方はもはや自在です。
この課題では、静岡市の中心市街地において、10世帯の家族※1 が集まって暮らし※2、一部の住民はその場で働く「集合住宅」を設計します。集まって暮らし働く意味をよく考え、これからの「集合住宅」のあり方として、単に個々の住戸が並んでいるのではなく、「集まって暮らす」ことで生まれるコミュニティの場にも考慮しての提案を求めます。敷地は静岡市葵区の浅間通りのアーケードに面しており、裏の路地にも接道した細長い敷地です。浅間神社の参道でもある浅間通りは、駿府城の城下町としても歴史的に重要な位置付けであることは想像に難くありません。徳川家康が在城していた江戸時代もここは町人まちとして栄えていた様子は古地図などからも読み取れます。1階で生業(なりわい)を営み、2階で暮らす職住隣接の典型的な門前町の商店街でしたが、年々変貌を遂げています。現在、残念ながらシャッター商店街となりつつあるこの通りを再生し、魅力ある賑やかな街とするために、3つの敷地を選択し、それぞれがネットワークを持って存在する、新たなまちに対する起爆剤となる計画を求めます。
「 集まって暮らし、働く」ための提案が、この場のみならず、全国で起きている市街地での空洞化に一石を投じるようなものとなることを期待します。

※1:家族の人数は規定しないが、一人暮らしのユニットを設定するとすれば10のうち3戸までとする。│参考:住宅統計(厚生労働省 国民生活基礎調査)の世帯人員からみると、世帯数の割合は1人:27%、2人(夫婦のみ、ひとり親と未婚の子、未婚の子と親など):32%、3人(夫婦と未婚の子、未婚の子と両親、ひとり親と未婚の子など):20%、4人(夫婦と未婚の子、未婚の子と両親、ひとり親と未婚の子など):14%、5人以上:7.5%
※2:新たな暮らし方は○LDKに捉われるものではありません。経済至上的に生み出されるデベロッパー的な間取りは求めていません。新たな家族像、新たな暮らし方、新たな働き方にふさわしい、新たな住宅ユニットを創造してください。

設計条件

用途/条件

  • 10家族が暮らす集合住宅
  • 一家族のユニットは30~100m2。通常の一家族に必要な諸室を解体したり統合することは自由。
  • 住民の一部が運営する仕事場を設定する。
  • 浅間通りに開くきっかけを仕掛けること。
  • ここでの暮らし方が浅間通りに波及するようなポテンシャルを持つこと。
  • 延床面積:1200m2前後[住戸70m2平均×10/仕事場400m2/その他(廊下階段など)100m2]
  • 階数:2階建以上仕事場は以下のようなものが仮定される。(この地に相応しい仕事を発掘することが望ましい。)
  • カフェ(食堂)
  • 子育て支援施設
  • ミニライブラリー
  • 設計(デザイン)事務所
  • ゲストハウス(アルベルゴ・ディフーゾ)

敷地条件

  • 敷地:静岡県静岡市葵区馬場町33を含む地図で示された箇所
  • 用途地域:商業地域
  • 容積率:400%
  • 建ぺい率:80%
  • 構造:自由
  • 敷地内はすべて設計する事。外部空間も丁寧に考えて下さい。
  • 敷地面積:約600m(2 各敷地で若干の違いあり)
  • 敷地は浅間通りのアーケードと裏の通りの2つの道に接道しています。この特徴を生かした計画とすること。