[4年]講評会記録

Record of critique session


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_01: 田嶋亮 「バウンダリーカッチング」

長谷川:のこぎり屋根をリノベーションすれば町が活気づくということではないだろう。敷地の選択理由と、その広い敷地の中で、模型表現した部分がなぜここなのか説明してほしい。

田嶋:敷地は、街の中心地の近くを選びました。模型は家庭と面している道路が含まれる部分をクローズアップしました。

長谷川:場所を選んだ時に、そこにはきちんと理由があるはず。図面も模型はそれを表現できると、何をやりたいかが伝わると思う。もともとののこぎり屋根が似てるから当然なんだけど、それをそれぞれどう生かすかということがこの課題のポイント。

金子:既存ののこぎり屋根の建物でつくれる空間のあり方が、敷地を選ぶときの基準になるのではないでしょうか。のこぎり屋根は、基本は北から光りを入れるためのもの。でも南側から、もしかしたら西側や東側からというのもあるかもしれない。のこぎり屋根の向きによって下の空間に違いが出るし、その屋根が建物全体にどのように配置されているのかということも含めて、まず既存建物の分析が必要です。

田嶋:建物の架構については、のこぎり屋根の下で光りが均質に入ってくる、大スパンの均質空間を、間仕切り壁で仕切るのではなくて、家具の配置や床レベルの操作で仕切ることを考えました。

金子:均質な空間って言っていたんですけど、実はそうではないと思います。光りの入り方や周辺環境との関係も違うはず。そういった意味で既存の建物の分析が少なかったのかなと思います。昭和初期の古い既存建物の利用ですが、構造補強の検討はされましたか。

田嶋:こちらは4つの構成の中の1つですが、これが外壁を柱と梁の中に嵌るように入っていき、それが構造的に効くと考えています。

中畑:このエリアにのこぎり屋根の、これくらいの規模の建物がこんなにもあるんだって驚いていて、おもしろいことを見つけたなと思います。この作品は既存建築のある形のおもしろさに気づき、ある種のエッセンスをつかんでいる。でもそれを設計に落とし込むところが物足りない。確かに形がおもしろいし、外側から安定した光を取り込む意図は分かるのだけれど、それ以上のことはない。

田嶋:建物の中に壁があるんですけど、その壁はできるだけ光が入ったときに、横から入った光は通り抜けて奥へとどくような開口部の設け方を意識しています。

中畑:基本のこぎり屋根って均質に光が入ってくるだろうから、それは実現してるけど、もう少しやれたのかなって。北側に拘らず、あらゆる方位に対して開けた場合にそこから落ちてくる光を、例えば壁にわざと当てて蓄熱しようとか、もともとのこぎり屋根が持つ環境的なある種の潜在力みたいなものをもっとこっちに展開してもよかったのかなっていう印象です。

後藤:のこぎり屋根はすごく魅力的ですが、細かく見ていくと屋根と敷地との関係性や方位とかで微妙に違和感があります。屋根の角度や下との関係性を、もう少し解像度を高めて設計すべき。中の用途や空間に対応して、屋根形状の細かい設計ができたのかなと思います。

八木:スクラップアンドビルドではなく、リノベーションに取組んだのは彼だけ。そこは評価したいと思います。街の真ん中の一等地にあるので、周りとの関係構築にもチャレンジして欲しいと思いました。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_02: 廣岡歩 「異くうカン」

佐々木: 流体解析を利用してデザインする試みは評価します。一方で、これはプロットすることが大事。解析によってルーバーや素材、形状がどう変化したのか教えてください。

廣岡:全壁面の格子を千鳥方式として解析すると、オフィス空間の照度が高くなり不快グレアが発生しました。そこで、オフィス空間の壁面の下半分を格子にして、それ以外の壁は千鳥方式のガラスで不均質な光を取り入れる。さらに、格子の水平方向も交互にするという事で、ルーバーの配置が決まりました。

佐々木:表層で終わるのではなく、解析によって「環境建築としての理想形がこれだよ」と示せるとすごいなと思う。今のままだとファサードエンジニアリングで終わってしまう。

彌田:こうした手続きで設計したことは素晴らしいですが、均質なオフィス空間でいいのかという感じがします。例えば、人間は平均的に心地よい条件があるのかもしれないけど、太陽光を浴びている時が心地良い時もある。そういう不均一なものが全部排除されて均一化されることに対して考えはありますか。

廣岡:直射日光は入りづらいけれどルーバーによって間接的に日光が室内に入り、自然光のみでオフィス空間がつくれるので心地良い空間になるということで考えています。

彌田:そうではなくて、どういう方向に持っていくかでシミュレーションの扱い方が変わるので、「皆が快適だと思う環境を整えよう」というオフィスにシミュレーションをかけても、そもそもそこを疑わなくてはいけないのではという疑問です。

八木:熱負荷に対するシミュレーションはどうなのかな。ガラス張りにしないでやわらかい光を入れて、直射光が暖房値でも冷房値でも入らないようにしているから熱負荷はこの間隔でいけると判断したのですよね。

廣岡:そうです。

八木:だとしたら熱負荷もしてもらいたい。ガラス張りにしたいわけではないけど、どういうルーバーが適切なのかをシミュレーションをした方が良い。

佐々木:徹底的に均質な空間をつくろうとするとピロティにルーバーはいらなくて、ちょこちょこデザインを入れているのが気になる。ただ、完全にケーススタディとして、いかに均質な空間を作るかに徹底しているのであれば、それはそれで評価ができる。研究に限りなく近い状態のシミュレーションまでやっておけば面白い。

彌田:構造形式が層によって違うので、それは無駄じゃないかと思う。普通は構造形式を整えたくなるけれど、環境シミュレーションをすると構造形式がぐちゃぐちゃになります。それっていいのかな。

長谷川:均一空間をつくる話と、シェアオフィスが合わないと思っています。シェアオフィスのいいところは建物の中のどこで働いてもいいということ。半屋外空間など色々な場所で働けることが分かってきたので、環境シミュレーションの結果を品質の方向にもっていくのではなくて、その場所の目的を際立たせる方向にもっていく。シミュレーションの目的をどこに置くかを定める必要がある。

中畑:先生方のおっしゃる通りで、こういうシミュレーション型ってパラメーターを何に設定するかが重要で、この設定が甘かったのかな。だけど、僕はめちゃくちゃ良いと思いました。

廣岡:ありがとうございます。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_03: 鬼頭拓巳「our[ ]epilogue」

長谷川:話はすごく面白いけど、建築が最後にどうなっていくのかをグラフィックだけでなくて模型でも表現できたらもっとよかった。

金子:アーケードの設計はすごく大事だと思いますが、継承がアーケードを媒介にして行うのか、下はどういう空間になっているのか、どう広がるのかを教えてください。

鬼頭:どういう空間にするかに関しては元々のアーケード下に異様な空間が残っていて、その拡張としてアーケードがあるといった感じです。

森下:アーケードの高さが五層分くらいあるけれど、高さの検討はしていますか。

鬼頭:高さは既存の水上ビルに合わせています。

後藤:五メートルの大屋根をつくる部材が平屋の小さな建物に転用されるのは、色々と想定しておかないといけない。この一本の柱はすごく太いけど木ですか?

鬼頭:はい。

後藤:それが転用されるイメージが出来ないのと、なぜ水上ビルにアーケードをかけているのだろうか。

鬼頭:アーケードは水上ビルの持つ記憶や、その物事の継承としてかけています。それが一緒に建築される所は、建築されて大屋根は町に広がり、無くなった時に少しだけ残る。この状態です。

後藤:僕だったらアーケードだけ残って、水上ビルがなくなった風景が別の公共空間になっているから水上ビルの記憶も残るのだという話になってくると思うのですけど、ここからさらに分解していくと少し複雑な話だね。

杉山: これは少し飛び過ぎている気がします。ストーリーは面白いけれど、アーケードのスケールがかなり大きいので、別のアプローチがあってもいいと思います。

長谷川:上手い抜け殻を作った方がわかりやすい。この長さで抜け殻だけが残ったら不規則になってしまう。

佐々木 50年後か60年後の終着点で、元々の水景を呼び戻すことを風景としてつくろうとしているのか、水上ビルがあった時代感のオマージュを残したいのか、最終的な目的を教えてください。

鬼頭:目的は継承と記憶の残し方です。最初に用水路がつくられた時代を河川として呼び戻しながら水上ビルがあった記憶が残るので、そこが一緒に上書きされて新しいものに昇華していくというものです。

佐々木:だとすると、ただのアーケードでいいのかとか、その地域の活動がどういう風に営まれているのかまで書き込まないといけないね。

鬼頭:ありがとうございます。

田井:ここには空間が無いというか薄い感じがするので、建築なのか単なるものとしての断片でしかないのかが分からない。ただ、建築としての継承の在り方の提示にはなっているかなと思います。

鬼頭:僕が目指したのはプラス事としての継承で、このような形になりました。

八木:私は結構わかった。10年ごとの長いスパンがあって、ドローイングも模型も上手い。だけど、水上ビルが出来る前は川があって、バラックがあって、ある時に鉄筋コンクリートに生まれ変わるので、現在より前の段階の情報が欲しい。そこからの今があって、老朽化しているしどうやって建て替えていくのかという一つのモデルで、最終的に理解したのが全部なくしてもう一回川に戻そうってこと。

鬼頭:最終的にはそうですね。

長谷川:じゃあ何十年か経ったとき、町にとって川がどんな存在なのかということから始まると思う。そのための建築の在り方が示せないと墓石や墓標を作っているみたいで終わってしまう。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_04: 原田留主「天竜のフ・ドーサン」

八木:午前中話を聞いた時はよく分からなかったです。天竜二俣駅と同じ構造にしたという表現にして欲しかったのですが、広域の模型を見てもどれが駅なのかよく分からないです。ただ、なぜこの敷地を選んだのか話を聞いたら理解できたので、その辺りをしっかりしましょう。

原田:ありがとうございます。

佐々木:気になったポイントは車のところです。せっかくアプロチで沢山活動するのに、車を真ん中に持ってきたのが解せんなと。一方で、これは一つの教会ということで作った方が良かったのではと思いました。トラックを使いながら町に対して一種の宗教的なコミュニティを作っていくという考え方もあるのでは。

原田:今の教会がかなり小規模で人を集めるような所ではありません。なので今ある教会と同じぐらいの規模感と地域のコミュニティを交えるような方が良いのではないかと考えました。

佐々木:日本の教会は小さなものをポコポコと設けているだけですが、ヨーロッパの教会は町の中心でコミュニティの中心です。日本のお寺さんと近しいですが、概念的な発想ですよね。考えのひとつとして取り込むのも良いと思います。

原田:ありがとうございます。

後藤:東西の敷地の想定、東西への関係は考えられていますが、道の北側との関係性などもう少し町への広がり方を考えると町中と繋がる気がしていています。特に駅舎の敷地が広くてその敷地も有効活用できるのではないかなと思います。

原田:その辺りには多くの住宅があって、道が入り組んでいるので、駅舎が点々としていると見えづらいというのがありました。なので、1つの敷地を拠点としてもらうと考えました。

長谷川:タイトルだけ見たら何を言っているか分からなかったですが、点々としている不動産を地域の人達が持っている不動産によってつなげるということは非常に面白い。ただ、これはどの地域でも同じことがやれると思います。なので、この場所でやるとなった時に建築がどう変わるのかを言えると非常に刺激的になる感じがしました。

彌田:長谷川さんと同じような意見ですが、歩行者空間と車の空間が別々の計画になっています。なぜ混ぜてないのでしょうか。

原田:トラックが長期滞在するということを想定しておらず、長くても1日ほどで町に循環していくようなことをイメージしています。滞在よりも移動のほうに重点を置いていたのであまり融合できていないです。

彌田:街に合わせたのかもしれないけれど、建築の形が切妻の長いボリュームの分棟配置で終わっていて、もっと敷地一体で建築を考えられたほうが色々なものが等価に扱われそうだと感じました。

原田:ありがとうございます。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_05: 鈴木葉大「Flowing City∼変化し続ける都市を目指して∼」

金子:各エリアの立て付けが変わり、それによってデザインコードも変えていくという事はわかりました。そのデザイン構造が使われ方とどう繋がるか気になります。

鈴木:まずここに訪れる人を増やします。そして、居住者の働く施設を作って関わる人を増やします。その後、それらを絡めていくことで繋がります。例えばこのホテルでは、1階にレストラン、2階にお風呂があり、用途によって活動が繋がっていきます。ここで最初学んで、実践して、ゾーンのテナントを介して働いていく。

金子:真ん中はワークケーションや準市民がその間に入っている。

鈴木:そうですね。準市民の方が、学ぶ場所の先生としてオフィスを一時的に借りることで、活動を展開できるようにしました。また、閉じこもりやすい用途を街並み的に関層化し、縦動線で繋げることによって個々の賑わいを作るため、階段をデザインコードとしました。

金子:これだと、どこの街でも同じような回答が出る。掛川らしい空間の要素をデザインコードに落とし込んでいますか。

鈴木:掛川の課題から仕組みを作っているという意味では取り入れています。

長谷川:準市民が集まれば賑わいが生まれそうで、結構面白いです。2階の繋げ方もいい。既存の道路を無視し、準市民専用の場所として魅力的になっている。ただ、この敷地でなくても出来る企画だし、駅と城を結んでいる軸を大事にしてほしかった。中央のパブリック空間も惜しい。

佐々木:新築の建物のデザインコードも示した方が良いと思います。多層で都市空間が繋がるぞと言える。建物をルール無しで置いているから気持ち悪い気がする。

八木:車道による分断の問題が過去にもあって、それを解決していないのが残念です。ただ、フェーズ3の後の広がりを踏まえているのは、いいなと思います。発展していく可能性が生まれた。

鈴木:道、路地、空き地のような左右の広がりは仕掛けとして設計してみました。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_06: 鈴木結梨「天竜の木とまちの共存」

森下:商店や家が建て混んだ敷地なので、分かりにくい場所ですが、橋の方見ると目を引かれる。屋根の形状も凝っている。

鈴木:川の流れや人の流れを意識しています。人の流れは車の動線としてとらえています。

佐々木:山並みと里山の風景が建築の形態に近く、シークエンスが広がる。その修景が綺麗なのは分かる。しかし、反対から見ると絶望的な感じになる。そこも含めてのこの街のシンボルとなるよう在り方で作ってほしかった。機能は皆が集まる場所だから、地域として捉える。そうすると良くなると思う。形態の操作は上手だから、計画的なところとランドスケープを考えてもらえるといいと思います。

金子:川に対してどう広がるか、街に対してどう広がるか、環境も含めて色々な要素の繋がり、その見え方の話がもっと膨らんでいくと、おもしろくなると思いました。あと、屋台と材木の保存庫は逆の方が良かったのでは。木材が積んである状態も含めて見えると、空間が生き生きしてくると感じました。

長谷川:鉄道との間の余白とか、川に対しての在り方とか、それぞれ向かい合っているものに対してどういう風に接するかを意識できると更にいい。木を見せることに特化すれば、ただのパビリオンではなくて、山の向こうから繋がってくる。そういう意味では非常に良くできていると思いました。

彌田:これは何ですか。

鈴木:これは、ここを通る人に木材を見せる場所です。山並みや川の流れと、屋根の構造も意識しました。この厚木を使った場所はDIYで使えるようになっています。どうしても傷んでしまうので、地域住民が修理していきます。その技術を持ち帰ることを意識して、敢えてここを木の面にしました。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_07: 田中葵「日常の波紋-まちを辿る親水空間-」

中畑:巡るという考え方にもリアリティがあるし、場所にも合っている。しかし、この屋根の構えは非常に特徴的で派手で、佐鳴湖の雰囲気に合っていないと思います。

田中:風景を最初に考え、湖から土地に上がっていくことを想定した、境界線を無くすイメージの屋根です。

後藤:湖の周りをうまく使えている人の振る舞いを見つけて、それを設計に生かしていると思います。A棟の中でも5つ建物がある。それぞれバリエーションがあり、説明がもう少し欲しいです。

田中:最初はB棟を作ることを考えました。艇庫に必要な高さを中央で設定し、そこから最終的に4棟並べました。形状は考えていなかったです。

金子:屋根の印象が強くて、風景を切り取ったという割には、どれだけこの中に反映されているのかイメージがつきません。

佐々木:建物を分棟にした理由は何ですか。

田中:敷地に対するボリュームで考えていて、建物の分棟に関しては意識していなかったです。

佐々木:小割にするため路地的な要素を作り、桟橋がある風景を作りたかったという意識はわかる。一方で、その路地の奥に回廊が走って、切妻が伸びて庭がある。そこに対しても一つ提案があると深みが増す気がします。

長谷川:他にない風景を作れる敷地ですが、観光に頼るというのは自分の資産を切り売りしているだけです。本当はここに住みたいという人を増やすため湖の周りをどうやって作ったらいいかという視点が欲しい。緑が綺麗な所に船で行けますとか、ご飯を食べに船で行けますとか、ここならではの生活が見えてくる。全体に何カ所か核を作ると湖の全体が発展していく。写真一枚でわかる場所の作り方が出来れば、非常に可能性がある面白い空間だと思います。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_08: 鈴木颯太「花ハ紅、柳ハ緑」

佐々木 1階のアプローチに繋がるゲートは何の役割がありますか。
どこがインテリアでどこがエクステリアなのかが分からないので説明をお願いします。また、建物としてチューブ状に全部インテリアで繋がっている部分はどうやって使うものなのかな。

鈴木0.5階部分は現在外国人の方のマルシェや、周辺の小中高の学生の吹奏楽が演奏していて、それが屋内スペースで披露出来る居場所になっていたり、マルシェであったり、多目的での利用を考えています。

佐々木:ゲートがはっきりしていて、平場が広がっているので、立体的な屋上庭園に繋がっている環境の中で、どこでも気軽に出られるような感覚を作った方がより使いやすいと思います。

車で囲われているから、ゲートで絞ってしまうと一度に人が入りたいはずなのに入れない。ここでインテリアの箱が出ているだけではなく、平場の面が広がりその先に繋がっているとか、余白や余裕を持ってつくると立体的なプレートの繋がりがより豊かになると感じました。

鈴木:中に入ってすぐ屋外に出られるようにはなっています。

佐々木:そこはとても気持ち良い場所になっています。そうすると反対側は気持ちいいのだけど、こっちは道路で行けないとか、だったら間を繋ぐとか。一部で立体感を出すのではなく、もっと触手を伸ばしてもよかったのではないかと思います。

鈴木:ありがとうございます。

長谷川:ターミナル駅に人が集まってくるが、今は駅には地下やビルがあって、そこ自体が街みたいになっている。「それをうまく生かすただのフローじゃなくて」といった話になっているがこの場所の面白いところは人が集まってくるところ。人が集まるところだからこそ、なにか居場所があったらいいと感じました。駅から出てくるだけではなく、浜松駅を半分壊して中まで入れてほしかったです。

鈴木:なるほど。

長谷川:切り取ったから浮かび上がるということもありますが、少し切り取りすぎています。周りに少し手を入れてあげれば、もっとよくなると思います。

金子:木は上だけではなくて、駅の近くにあっても良いと思います。バス乗り場の利用者や駅に行く人、町で仕事をしている人がこの森のような場所を通って、リフレッシュして帰る。ポイントが切り替わるとき、気持ちを整理するいい場所になると思います。上には行けず、地下のレベルも無いので、もう少し重なりがあってもいいのではないかと感じました。

鈴木:ここでは実像と虚像のための、建築の中でのグラデーションという風に考えています。ターミナルはリアリティが強く、地下からのグラデーションをもっています。そのため、結果的に上に木を置きました。

金子:断面的には分かるのですが、今の話が奥行き的にも適応させ、外から中に入る人にとっての動線の中にあってもよかったと思います。

後藤:一度下がってから上がるバスターミナルに動線を開通するのはいいなと思っています。浜松駅から繁華街と逆方向にアクトシティというショッピングモール兼ホテルがあり、動線として繋がっていないことが問題になっています。繁華街からアクトシティの屋上庭園までをつなぐストーリーがあると腑に落ちたと思います。

佐々木:図書や工作など多様な機能が入っていますが、その活動規模がどんどん密になって育っていく。それが樹木的だという話であれば、筋が通るのではないでしょうか。

八木:それだったら木が全然生えてなくてもいいと思います。

鈴木:植物は実像と虚像、二つを併せ持ちます。この建築では実像と虚像のグラデーションを表したくて、屋上部分に植物を入れました。

中畑:「虚像」という言葉がよくわかりません。浜松駅を見ると、バスターミナルで視界を塞いでしまう。そこで、樹木があるGLを持ち上げ、隙間を作ってある種の視線の抜け、都市的な視線の抜けを作った。そのためにバスターミナルを地下に下ろしたと理解しました。

鈴木:視線の抜けは特に意識しました。

佐々木:「花ハ紅、柳ハ緑」と書いてありますが。

鈴木:「花ハ紅、柳ハ緑」という言葉は、柳は緑色に花は紅色にありのままの姿を見ようという意味です。その考えを反転させて、花と柳、建築の持つ豊かさによって、人間の想像や予想がより豊かに見せることも有り得るということを表現しました。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_09: 疋田大智「気根的線路集落緑」

後藤:線路との関係が割と希薄だなと思いました。模型のSLや公園が真っ白で、そことの関係は何か考えていますか。

疋田:できるだけ現在東側の凸凹を残している状態で、ブリッジの形に対して回遊させています。線路も生活の一部にできるよう考えています。

彌田:観光地やテーマパークのようですが、名前は「集落」。なぜ集落にしたのですか。

疋田:特産物や名産であふれるような場所ですが、点在した状態で計画しても仕方がないと思いました。大井川鉄道が各駅を結ぶことで点在する集落も転々と足を運んで繋がり、そこに共同体が生まれるのではないかと考え、集落としました。

彌田:周辺の地域に対してはどのように考えていますか。

疋田:車で出入りする形になっているため、駐車場を散りばめています。周辺の建物には、ボリュームを兼ねて屋根をつけ、敷地内をはみ出して歩いて行ける形です。

佐々木:第三村のようなのは、スタジオセットが関係していると考えられます。どこがどういう集落で、そのくくりがどこまでなのか。車道が今の状態だと道を急に崩して終わるセットになっている。まだまだ組み替えて構成を考えれば楽しみではあります。

疋田:集落としての周辺だけでなくて、集落の一部として周辺環境の中での計画をできる余地があります。敷地の中だけが集落だけではないですし、周辺環境に間隔をとっています。

佐々木:それができていませんね。

八木:周辺の人たちの生業を伝えるようにしたいとか、性格が介入する生業とか、すきまとか言っていた割には観光地遊園地。ボイラー鉄道と新金谷駅で行く場所を決めた観光客が楽しめるようにしただけに見えてしまいます。閉じていた場所を建て替えるのもいいですが、何か一部は改修してもよかったと思います。列車やホームにも注視したほうが良いのではないかと思いました。

疋田:用途を分配して、アイラインまで落として見ていく中での街の風景や環境をつくるということを考えていました。

八木:最初に大風呂敷広げて、でも卒研としてなにか形を作らなくてはという焦りがあったということね。

佐々木:そこにとどまってしまっている気がする。

金子:線路で止まり、駐車場にはほとんど手が入っていない。このような計画では同じ方向に歩いてしまうと思います。線路に対しての関係を横目で見ながら歩いていくときに、断面方向見ることで、サイドにもつながりができて全体として良くなると思います。中央はある程度出来ているのでそれをもう少し全体に展開させて欲しかったです。また、建物の話が少なかったですが、実は床が浮いていたりとか、しっかりと軒を出したりとか、意識されています。

疋田:勾配のある敷地でもあるので、階段を上っていったり少しの段差を上ったり、隙間のずれだったり、それで生まれた隙間をくぐっていったり、体験的な部分はデザインコードとしてなしています。 

長谷川:すごく面白い。最初見たときはよくできた駅前広場とか、テーマパーク的なものに見えました。でもその後よく見てくと一個一個の建物に気合が入っていて、かなりアバンギャルドな建ち方をしているものがいくつかある。実は地元の人たちにとって役に立つものが中に入っていて、観光客に寄っているわけではないと今は思っています。1時間に一本しか電車が来ない場合も面白い場になると思うし、1時間に一本といわずに点と点を繋いでく。ここの財産は鉄道なので、この鉄道で拠点に行ったり来たりすることで、周辺に住んでいる人たちにとって、非常に役に立つ場所に成りうるポテンシャルはあると思います。

彌田:半外部空間を農業の集荷場の所とか駅舎などが考える中でのテーマなのだろうと思っています。図面表現の話ですが半内部空間をとらえなおして、カーポートがあるとか、想像力をどこまで相手に与えられるかという時に、もう少しできたのかなと。

長谷川:模型は、今の在り方をフラットに見せることで面白さが際立ったと思います。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10

SESSION_10: 有田晃己「呼吸する建築」

中畑:この人工島は大橋をかけるために作られたのですか。

有田:そうです。橋を計画する段階で、島を同じ時期に増設しています。

中畑:現状は使われていない?

有田:現在は道路と駐車場のみで利用されています。

中畑:ここの下に駐車場があるの?

有田:駐車場になっています。

中畑:サービスエリア?休憩所?

有田:昔休憩所があり、現在は道路、駐車場だけで、何も利用されていません。

中畑:無法地帯?

有田:管理下は湖西市と浜松市が管理している状態です。

中畑:ランドスケープとして地面はどのくらいいじっていますか?

有田:既存地面が長さ600m、横幅60mですが、それよりも二回りほど横幅を大きく伸ばして、桟橋が出ている分まで長く伸ばしています。

中畑:レベルは?

有田:ほとんど同じレベルで水面から最大高さが2mの位置です。

中畑:削っている?

有田:潮の満ち引きの関係で最大高さが1.5mになっているので、許容値で2mにしています。

中畑 :この場所をよく見つけたなと思っているし、さらにここまで展開していく力も非常にあり、感心しています。 

八木:生態系を取り戻すというテーマなのですよね。その時に建築行為をしていることが逆に自然破壊していると捉えられてしまう可能性があるので、それに対してはどう思っていますか?

有田:生態系を改善させることを目的としています。自然の中に人工物が置かれて、何もないという状態から建築をするというよりも、人間が入って人間の排泄物、生物、雨水等がここに降り立って、それが浄化されて水が排出されるというシステムによって生態系の改善を行います。

八木:出来上がるまでのダメージはありますか。

有田:ここが一つのきっかけとなってこの後改善されていくという将来的な目標のためであれば、生態系を守るために必要なことだと思います。

杉山:「再生」という言葉は合わないと思います。

有田:ここでの再生というのは湿原の再生であって、生態系は新しく作るという意味です。

佐々木:この橋は触らない?

有田:島内部の橋においては触っています。

佐々木:作り替えはするものの、以前と同じようなレベルで車が走っているというような考え方で良い?

有田:構造として下をトラスで組もうと考えています。

佐々木:車道にかなり近接した状態で建物を付けています。実際ガードを付け始めると、ボリュームとして強いものになりますが、その時に一つ上に上げたり、下へ地面のほうに走らせたりする手もあったかもしれない。あえてこの高さにした理由はありますか?

有田:元々の高さを維持したかったので、わざわざ上げたり下げたりという操作を行う必要がないと思ったのが一つと、下げる操作をした場合、車道が入った時にアスファルト敷き、砂利敷きになり、それは僕のやりたかったことではなく、生態系改善の目的には反していると考えました。

佐々木:建築との干渉という問題が絡んでくると思う。車専用道路に対してと建築との構え方に対する提案した方がいい気がします。

有田:ここは自動車だけではなくて、浜名湖を回遊するサイクリングロードが存在していて、建築とのボリュームに違和感があって

長谷川:結果的に外が見えないものになってしまう。何も無い中で隣接させるのは無理なのでは?

長谷川:建物のボリュームが大きい気がします。当時の人工的なものを踏まえて、なるべく自然に返すというのはすごくいい。しかし、こんなに建築物はいらなくて、道路に対してのあり方を工夫することで可能になる気がしている。
(鉄パイプと枯葉で作ったダイアグラム模型を指して)ひっそりと置いてあるあれは何ですか?

有田:自然の中に人工物が建って長い時間が経って風化していって植物が覆いかぶさって、侵食していく姿を想像したものです。

長谷川:どれくらいの年月を想像している?

有田:ざっと50年。

長谷川:この辺の水質研究していた人たちは、死に絶えていなくなるの?最後は廃墟で終わる話だけど、その時はこの道路も使っていない世界ですか?

有田:目指している植生と生物と人間が共存する世界として、建築に植生が覆いかぶさる状態が人間の生活の中に垣間見えることを想像しました。

長谷川:廃墟のシンボルではなく、建築に植物が育ち覆うことで、もっと良い所になると表現している?

有田: はい。

金子:浜名湖の水をきれいにしすぎたせいで生態系が駄目になっている。人間が環境を良くしようとした結果悪くなり、人間の手でもう一度循環を起こすというのが目的という話を聞き、それは面白いと思った。どこまで人間がこの生態系の中に入り作っていけるか、そこの限界を探っているような気がしました。

有田:浜名湖に流している浄化水が高度な技術によって水がきれいになりすぎて、養分が足りていない生態系が現在の漁業の衰退につながっているという説から始まりました。人間の生活が自然の一部であると提示したいと思っています。


Move to
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10