学び潤う
市川素暉
今回の設計地は、南に畑、北に幼稚園、東に駐車場があることから多方面にわたっての地域開放が求められる。この敷地の大きな特徴として川をまたいでいること。しかし現在の小学校は川をふさいで片側のみに設置をしていて不格好に見えてしまう。今回はふさいでしまった川をあらわにすることで敷地本来の形を地域への交流の活性化につなげていこうと思う。校舎内では、各学年に合わせたワークスペースを設け、それぞれの成長に合わせ、生徒自らが考え、クラスメイト、他学年との交流を持てるように設計した。二つの校舎をまたぐ「川のテラス」はオープンスペースとなっていて、多学年の交流や来客、講師など、自然あふれる空間での関わりの中で自分の学びを存分に潤わせてほしい。
教員講評
子供たちの教育を地域社会全体で取り組んでゆこうとする動きが各地でみられている。それは文科省が提唱するコミュニティ・スクールという概念でもある。この計画では、「川」を中心に小学校とコミュニティ・センターが一体となった施設として提案されている。川の上には橋が掛けられ、両側の施設が連結され一体化される。まちづくりの観点からは、「川」は従来、遠ざけられてきた。いままで裏と認識されていた「川」をまちづくりの中心に据えて、新しいコミュニティ・スクールのあり方を提案しようとする意欲的な案である。(佐藤)