漸増する記憶

漸増する記憶

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平間聖規

漸増する記憶

平間聖規

さまざまな技術の発展により、強靭なハコによって私たちはどこでも安全に生活できるようになった。現在、個々で生きていくことが容易になったため、隣に住んでいる人を知らないなど、私たちは人との生活の距離が離れてしまっている。そこで「学ぶ」という行為を媒介にし、今一度地域と共にある生活の姿をこのまちに生み出す。誰もが経験する義務教育期間を利用し、小中学校の新しいあり方について考え直し、学校を中心とした新しいコミュニティを形成する。

昔の記憶を呼び起こす大屋根で全体を覆い、その下に古墳時代から脈々と受け継がれてきた私たちの生活の場が存在する。その土地の記憶と現在の人々の生活の場が融合することで、この地に新しい景色を生み出す。こうして新しく生み出されたまちの景色が「学ぶ」という活動をよりまちに浸透させ、まち全体が知の集積の場となっていく。

従来の生徒の「ハコ」としての学校ではなく、まちに溶け込んだ「見えない学校」として住人にとって身近なものと利用されていく。このようにすることで私たちがこのまちで生まれ育って良かっと胸をはれるフィールドになることが、私たちが真に地域と共にある生活になったと言えるのではないだろうか。この建築はまちの「学び」のシンボルとなり、まちの人々をつなぐ架け橋のような存在になっていく。