[1年]建築設計・基礎 第3課題

〇〇の住む住宅

担当教員:佐藤/田井/金子/彌田

課題内容

1年生が初めて本格的に取り組む設計課題が住宅である。従来、2年生の最初の課題が住宅設計であったが、カリキュラム更新に伴い、3年次の建築設計B1が必修科目から選択科目に改変されたため、設計教育全般が前倒しされた。それに伴い、住宅の設計は1年生最後の課題となった。

住宅を設計するとは、通常、依頼主と建築家とが打ち合わせを重ね、その議論のプロセスから空間が構想されてゆくものである。しかし、大学での仮想的な設計演習では、学生は施主と建築家の両方を、一人二役で演じなければならない。

ここでは学生は、まず具体的な住み手を構想する。それは芸能人やスポーツマンなど特徴ある家族であってもよいし、一般的なサラリーマン家庭であってもよい。住み手の家族像を想定することが空間設計の第一歩である。敷地は袋井市中心部の旧東海道沿いのエリアに3ヵ所設定した。現状は空き地や駐車場となっている土地である。学生はそのなかで自己のイメージする家族像にふさわしい敷地を選択する。建築の設計は敷地のおかれたコンテクスト(外的環境)に大きく依存する。ここは歴史的には、東海道53次の宿場町が形成されていた場所で、それぞれの敷地の間口は狭く、奥行きは深い。それらの敷地には、伝統的には「町家」、すなわち商家が立ち並んでいた。しかし現在では、中心市街地の空洞化に伴い、本来あったはずの活気は失せ、空き地が増えている。

このように、考慮すべき外的要因の多い敷地設定であったが、学生には、まず第一に「家族」や「生きる」という視点から住宅の空間を構想して欲しいと考えた。結果は、さまざまな「なりわい」や仕事場を包含するような提案が多くみられた。それらは、現代の町家といってよいだろう。(佐藤健司)

袋井市中心部