[2年]建築設計A2 第1課題

こどもの居場所

担当教員:長尾/田井/渡辺/佐々木

課題内容

磐田市の遠江国分寺跡地の一角に、「こども園」を設計することが、今回の課題である。こども園とは、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設で、0歳から小学校入学前までの児童が対象となる。幼稚園では3歳から6歳までの児童が対象とされ、そこでは小学校入学前の早期教育に力点が置かれる。対して、保育園は対象とされる児童は0歳から6歳までであるが、両親が共働きなどで日中子どもを保育できない時に預かってくれる施設である。

ここでは、「地域社会に開かれたこども園」を設計するという課題であり、0歳から6歳までの乳幼児を保育・教育する施設が、どのように地域社会と連携するかを問う課題設定である。コミュニティセンター的な要素を含むこども園であると理解することもできるだろう。

コミュニティセンターのあり方は、各自治体によってさまざまである。名称もコミュニティセンターと呼ばれるものや、交流センター、生涯学習センターと呼ばれるものなどさまざまである。内容的にも、小規模なホールをもつもの、図書館分館のような機能を持つもの、スポーツ活動の行えるものなど、そのありようは多様である。劇場的なコミュニティセンター、図書館的なコミュニティセンター、体育館的なコミュニティセンター。あるいは逆に、コミュニティセンター的な劇場、コミュニティセンター的な図書館、コミュニティセンター的な体育館。市町村が作る公共施設は、すべてコミュニティセンターであると定義付けられそうである。

そうだとすると、すでにコミュニティ・スクールの名のもとに地域社会との連携が重視される小学校と同様に、コミュニティ・キンダーガーテンへのベクトルは不可避であろう。しかし、それを具体的にどうやって建築空間に落とし込むかが問われている。

建築デザイン的には、国分寺跡地という歴史的・文化的背景に連続する「塔」に着目したデザインもあり得たように思うが、残念ながらそのような案はなかった。近隣に位置する見付学校は「塔」をもった木造校舎が特徴的である。(佐藤健司)

磐田市・遠江国分寺跡地の一角に設定された敷地