[3年]建築設計B1 第1課題

集まって暮らす、働く

担当教員:田井/佐藤/八木/長谷川

課題内容

旧カリキュラムの学生は、3年生前期の第1課題で「集合住宅」の設計に取り組む。

敷地は静岡市の浅間通り商店街のなかに設定された。静岡市は駿府城を中心に、市街地が四方へ広がってゆく。航空写真を見て特徴的なことは、市街地の中に緑豊かな山が3ヵ所、取り残されていることである。本来、町の範囲はそれらの山が自然の境界を形成していたと考えられるが、現在では山の周囲は市街地で埋め尽くされている。それらの山は、北側から時計回りに、賎機山、谷津山、八幡山であり、多数の神社仏閣が、それらの山に配置されている。それらは止めどなく郊外へ拡散してしまった現在の都市の様態のなかにあって、貴重な自然を提供している。

駿府城から見て北西の賎機山の南端のふもとには神部神社、浅間神社及び大歳御祖神社の三社が鎮座している。この三社は、総称して静岡浅間神社と呼ばれる。これらの神社の正面は東側で、ほぼ真東の方角に向かって一直線の道が駿府城北側の堀をかすめて伸びている。一方、浅間神社南側の鳥居をくぐると、矩形をした駿府城の堀の西南端の近くに到達する一直線の道が続いている。浅間通り商店街は、その間、約600mの長さの門前町である。浅間通りに面して、狭い間口に深い奥行きの商家が並ぶ姿は往時を偲ばせる佇まいである。しかし現在では、空き地も散在し、高層のマンションに置き換えられた土地もある。袋井や掛川の東海道沿いの中心市街地の置かれた状況に似ているが、歴史ある門前町が何の変哲もない住宅地へと変貌してゆく一過程を見ているようだ。

ここでは、このような浅間通り商店街から、現在空き地になっている土地を3ヵ所抽出し、そこに数戸からなる集合住宅を計画することを課題として設定した。もともと商店街であった場所であるから、そこに住む人々は「なりわい」と共に暮らしていたわけである。つまり職住近接である。そのためには、画一的なnLDKと称されるマンションや、需要があるという理由だけで建てられ続けるワンルーム・マンションとは異なる、多様な生活像を反映した新しいビルディング・タイプが追求されなければならない。(佐藤健司)

静岡市 / 浅間通り商店街