[3年]建築設計B2 第2課題

現代におけるアーケード商店街の再々開発

担当教員:脇坂/長尾/針谷

課題内容

1950年代以降、日本各地で都市の不燃化をめざして、防火建築帯造成事業が行われた。防火建築帯は都市の中心部に地上3階建て以上の長屋形式の共同商業建築を形成するもので、不燃化のみならず都市の高度利用も目的としていた。これは道路沿いに耐火建築を線的に配置して都市の不燃化をめざした試みであるが、その後1961年の防災建築街区促進法へ引き継がれ、不燃化の手法が線的なものから面的なものへ拡張し、その後の都市再開発法の施行を経て現在に至っている。

沼津中心部には現在も老朽化した防火建築帯が残っており、今回の課題はそのアーケード商店街を再生させる試みである。課題に「再々開発」とあるのは、スクラップ・アンド・ビルドによる通常の再開発ではなく、既存ストックを再利用したリノベーションをも含む、開発の新たな方向性を提示して欲しいという出題者からの願いを込めたものであろう。

再開発とは、そもそもどのような開発手法であろうか。一般的には、街区全体を作り直す開発を指す言葉である。街区とは四周を道路で囲まれた一団の土地のことである。街区の中は、通常、細分化されて、こま切れになった土地に多数の建築物が密集して建っている。地権者全員の合意を得て、それらの細分化された土地をまとめ上げ、土地の高度利用をはかる行為が再開発と呼ばれるものである。そのプロセスには自治体が関与する。この手法の延長線上には、複数の街区にまたがる再開発、すなわちスーパーブロックによる都市開発という考え方がある。建築法制の第一原則は民地と官地の明確な区分、すなわち敷地と道路の明確な区分にあり、道路の上に建築することは原則禁止されている。スーパーブロックという概念は、この敷地と道路との関係をあいまいにする可能性を秘めている。このことは、既存の都市開発手法による限界を示してもいる。

しかしながら、再開発や区画整理は自治体にとって、まちづくりを遂行する上で、現実的な唯一の手段であるのかもしれない。例えば、JR藤枝駅の周辺には再開発プロジェクトが目白押しで、タワー・マンションが林立する未来図が描かれている。このような自治体主導のまちづくりとは異なる方法による都市再生はありえるのかが、この課題では問われている。(佐藤健司)

沼津中心部 / 防火建築帯の残る街区