オキ領域 + オカ領域 -空中歩廊による防潮堤境界解消の提案-

オキ領域 + オカ領域 -空中歩廊による防潮堤境界解消の提案-

Name:
伊藤暉

オキ領域 + オカ領域 -空中歩廊による防潮堤境界解消の提案-

伊藤暉

「オキ領域+オカ領域」
本計画では、沿岸地域において分断した漁港エリアと市街地エリアを繋ぐための手がかりとして、二つのエリアを横断する空中歩廊を計画し、人と資源が流れあう透明な流通関係とそれを支える建築を提案する。漁港エリアには漁港施設や直売所、親水公園などの産業・アクティビティゾーン、市街地には水産加工場や日本酒醸造所が集まる加工場・住居ゾーンなど特色ある町が広がる。空中歩廊による両エリアのネットワークが人と資源の流れと滞留を生み町の生活と重なり新しい風景が生まれる。

焼津市沿岸地域の海辺や町は自然現象の影響を受けて都市構造が形成され、同時に、人々の生業の空間がその作業に適した場所で合理的に構築されてきた(江戸から明治、昭和初め)。魚の鮮度を落とさないために海辺の売場で水揚げをして捌き、セリをして各所へ出荷、町では住居と複合し設備の整った加工場で加工して水産加工品が作られその町で売られる。これら魚の流通の方法などには、現代でも大きな変化はないが、その過程の節々にかつての市民の観衆や手伝いといった親しみあるふるまいが失われてしまったことは確かである。この産業への市民の何らかの介入を生産することでパブリックを取り戻すことができるのではないだろうか。