商店なき街
最優秀賞

商店なき街

Name:
坂本稜太

商店なき街

坂本稜太

設計要旨-「つくる場所」として-

サザンクロス商店街では、月に一度「ほしの市」というマルシェを開催している。主婦層を中心に多くの出店者が100mの道に、その日限りの店を開き、賑わいをみせる。しかし、その賑わいはその日限りである。ほしの市が終われば再び閑散としたシャッター街へと戻る。アーケードを囲う建物は筒抜け状態である。

本計画では、そんな有り余った土地をアトリエや町工場などモノづくりの場として提供する。日常時はイベントに向けてモノの製作を行い、イベント時はそこでモノを売る。限定的に店舗営業を行い、店舗営業を体験できる環境を整えることで、個人運営によるローカル店の発展を促す。商店街そのものに店舗は残らないが、浜松市内へとローカル店を輩出する。「商店街」は「出店街」となり、ローカル店における飛び石のような役割を担う。

計画地

計画地は静岡県、浜松市駅南に位置している。浜松市はかねてからモノづくりのまちと称されており、現在もその文化が根強く残っている。サザンクロス商店街は良くも悪くも「昔」のままである。切妻平入の連続風景、都市とは異なる軸線、劣化を続ける建物、これらの特性は、発展し続ける周辺環境と一線をおいた無二の空間を演出する。周囲との親和を気にしない、当時の面影を残す形態がこの敷地の特徴である。