壁で開く
榎坂太希
計画地のすぐ西側は夕方は特に交通量が多い。そのため計画地周辺の住宅は、塀で完全に外界と遮断している状況を目の当たりにした。私はそのような現状から、完全に遮断しない空間であることと同時に地域へ開いていくことを満足させる住居を考えた。建物と周辺の区切りを曖昧にするため、敷地周辺には曖昧な壁(窓枠が大きい、高さが低い)が設置されており、住宅に近づくにつれて壁の存在感が大きくなる(窓枠が小さい、高さが高い)特徴がある。建物の壁は、外に見られない必要がある空間といった内部の状況に合わせて、窓の大きさが異なる。周辺の壁は共有スペースで、誰でも通行が可能である。居住者像はお父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟の4人家族が暮らす構成である。
教員講評
細かな穴のような開口を持つ外壁で内部が守られているような案である。建築のシェルターとしての機能面がクローズアップされ、ドラマチックな内部空間が生じている。しかし、開口としてはとても小さく、開口というよりガラスブロックが埋め込まれているような不思議な壁面である。その思考力に今後も期待してえんがわ賞とした。(長尾)