おどおりば
市川素暉
今回の計画地に10世帯に及ぶ住戸とワークエリアを併設すること、これらの空間の中で建築が高層になることを避けて通ることは難しいだろう。そういった中で住居者、この集合住宅への訪問者などの視線や動線を増やし、交流につなげるためには、単純な横の移動や、一般的な階段やエレベーターなどによる縦の移動ではなく、建物内部外部を多く見渡せる道を作る必要があると考えた。ここで今回の建築には大きな階段を設け、今回自分が担当する「販売」や集合住宅に欠かせない共用空間を階段の「要素」として取り入れることでこの階段を進むことで、視覚的、知覚的に有意義な経験をし、「人」や「物」との関わりを楽しみながら空間体験をした欲しいと考えた。
教員講評
ハワードの田園都市に対して、集合住宅で職住近接をはかる仕掛けとして浅間神社へのアーケードという強力な軸線に垂直な動線としてのピラミッド状の大階段を設けた作品。大階段はルーバー状になっており、下部に設けられた中庭には光と風が通り、北側のワークスペースと接続する。階段の踊り場やそこから繋がるテラスで広がる人々の活動が視覚的に表れる。ここにパーゴラ状の大屋根を設けるなど中間的な領域を纏わせるというのもアリか。(脇坂)