光がつなぐ
森下空々
愛野駅近く、学生が多く、大人から子供まで訪れることができる敷地に美術館を設計する。ここでは一人の彫刻家、イサム・ノグチの作品を展示する。イサム・ノグチの作品は大地やあかりを彫刻したり、人々が関与することで完成する作品が多くある。作品に触れ、新たな発見ができる場となることを望む。
イサム・ノグチは日本人の父、アメリカ人の母の間に生まれ、幼少期から自分はどこの国の人なのかという疑問と孤独を感じていた。このことを亀裂、分裂と考え、作品の展示スペースを分離させた。分離してできた空間は、「孤独の中にも彫刻という光があった」ことを表すため、天井をガラス張りにし、光であふれる空間とした。光の空間が作品展示スペースをつなぐことでイサム・ノグチを表した。
美術館全体でイサム・ノグチを感じ、新たな発見があることを期待する。
教員講評
6つの箱の構成が印象的な案である。展示空間を「箱」として明確に表現するのはコンポジションと箱の表現が重要な要因となる。コンポジションが理性,箱の表現(素材や開口,屋根など)が情緒性を表現するものだとすると,それらが掛け合わさることで,建築の奥深さが伝えられる。森下案はコンポジションが絶妙であり多様な場所を生み出しているが,箱の表現がまだ手付かずな印象を受けたのが惜しくえんがわ賞となった。
(長尾)