間をつなぐ
戸塚俊汰
自分たちが暮らす学校は、学年を超えたタテのつながりや、学科間のヨコのつながり、また、地域と学校のつながりなど、人と人のつながりが希薄であると感じていた。この課題を解決するために、“間”について考えることで、つながりを作ることができると考えた。この建物には様々な“間”がある。キノウとキノウの間では、人が寛ぎ話し合ったり、アクティブな活動が行われたりすることで、あらゆる人のつながりが生まれる。自然と建物の間は、建物形状や窓の配置を自然に対して向けることで、境界を曖昧にし、自然の中に溶け込んだような暮らしができる。ウチとソトの間は、境界を曖昧にし、ソトにいた人がウチの活動に触れ、自然とウチに流れ込むことで人のつながりを生む。このように、様々な“間”の空間を考え、その境界を曖昧にすることで、訪れた人同士や、この建物と外部がつながり、地域と学校、人と人の間をつないでいく。
教員講評
2つの方向性を持つグリッドを重ね合わせ、そのズレが多様な場を生み出している。内部のみならず、外部でも3階まで上がることができ、広場から連続する活動を引き込むと共に、広場を見下ろす視点場を与えているのは意義深い。また、1階は主ボリュームとそこから張り出したボリュームの下が、さまざまなプロポーションのピロティとなり、広場からの延長として活動の可能性を広げそうだ。しかし、それぞれのボリューム内の空間は少々単調にも見え、行為を想定した新たな空間の提示まで至っていないのは残念である。(田井)