4 つの景色
山本祐菜
この住宅に住む家族は自然の風景を見ることが好きである。景色とは距離や角度、音や風など少しの変化で違う景色になる。そして、自然の情景は日々のストレスを軽減させ、気持ちを落ち着かせてくれる。周辺の敷地を活かしたいと考え、題名のように4つの景色を見られるように考えた。
まずは一階のピロティから見える隣地の雑木林と、反対側の道路に面している素朴なまき囲いの二つだ。緑に囲まれており、隣地の雑木林やまき囲いの両方が見えるようにピロティにすることで落ち着く空間を作った。また、二階と三階をずらすことで生まれる隙間を活かして、雑木林を上から見る景色を作った。ここに住んでいる人以外には秘密の風景になり、遊び心のある空間にした。
最後は、一階から二階に繋がる大階段を上った先に見える線路と桜並木だ。この場所はとても開放的で視覚だけでなく、電車の音や風を感じられる空間にしたいと考えた。外に視点がいくように設計したピロティは地域の人が集まって交流できる場となったり、玄関の飛び出した空間が3階ではプライベートな書籍になったりと、景色を中心に設計した空間から人と人との距離の関係も生み出している。