隙間に集う
樋口凜太朗
設計を行う前に、実際に沼津アーケード名店街を歩き、住民の方々から話を聞く機会があった。商店街の成り立ちや思い出、店内の様子など様々なことを聞いているうちに、この建物にとても思い入れがあることが伝わってきた。
そのため、建物のスパンや開口、高さは既存のままで、一部の壁を取り除くことによってうまれた緑地広場は、住民と商店街を訪れた人々との交流の場であり、毎月1日には朝市を行う会場にもなる。
3つの建物の構成は1・2階が店舗や広場のパブリックゾーンで、3・4・5階が住戸のプライベートゾーンとなっている。緑地広場の上部には2階と4階に架けられた通路があり、3つの建物を行き来できる。2階の店に囲まれた空間は商品の展示の場やテーブルやイスを設け、買い物客の休憩スペースにもなる。
住戸はメゾネットタイプやフラットタイプに分かれていて様々な家族構成に対応したプランとなっている。前面は開口部やテラスにすることで人々の暮らしがアーケード名店街を彩る。