彫刻と眺望の美術館
佐藤賞

彫刻と眺望の美術館

Name:
白瀧昌寛

彫刻と眺望の美術館

白瀧昌寛

私は、本美術館を美術品と景観を最大限に楽しんでもらえる空間を作ることを目標に設計しました。
まず、美術品を最大限に楽しんでもらうために工夫した点は、建物の外観デザインです。本美術館は、ロダンの彫刻作品の展示会開催を予定していますが、彫刻作品を最大限に楽しむためには、彫刻作品を様々な方向から観賞することが良いとされています。そこで本美術館では、外観をエレベーターコアである縦動線を強調させ、縦動線の平面配置により、見る方向によってシャフト(=縦動線)の本数が1本から4本まで変わるようにデザインし、来館者に、美術館に入る前に見る方向によって異なった見え方をするという体験をしてもらうことにより、美術品鑑賞時にも様々な方向からの美術品鑑賞を意識してもらえるように工夫しました。
次に周囲の景観を最大限に楽しんでもらうために工夫した点は、ワークショップ室、ライブラリ等が入る1回部と展示室、カフェ等の入る2・3・4・5・6階部の空間の差別化です。
本美術館では、ワークショップ室、ライブラリ等が入る、1階部の開口部を減らし、天井高を可能な限り抑え、周囲の景観を制限した閉じた空間とし、対して、2・3・4・5・6階部の空間を高層に配置し、カンチレバーで持ち出し、天井高を抑えつつ、四周をガラス張りとした空間とすることで圧倒的な解放感を持たせた空間としました。これによって来館者は、最初に良好な周囲の景観を阻害されることで周囲の景観に対しての期待感・周囲の景観を楽しみたいとする欲求が生まれ、そのうえで、圧倒的な自然を見せることによって周囲の景観への感動や愛着が生まれ、より周囲の景観への満足度が高まります。
以上の工夫により、本美術館は、来館者に美術品と周囲の景観を最大限楽しんでもらえる空間が実現できました。