ゆとりば
坂本稜太
日本に現存しているマンションは閉鎖的だ。南に大きな開口部を持たせた同じ「間取り」の住戸を幾度も連続させ、同じ形状のベランダを同じ方向へと展開する。その風景は牢獄のような閉鎖間を印象に持つ。そこに生活の豊かさ、人々の賑わい、歓びは感じられない。
本計画ではその閉鎖間を解消し、解放感のある「ゆとりのマンション」を目指した。
人々の生活風景や、人々が交流する様子、また商業施設や福祉施設を通じて、子どもたちが無邪気に遊ぶ楽し気な風景をまちに映す。
また、これからのマンションとして本計画の住居には職場および作業場が隣接されている。
「住ながら働く人」もいれば「住ながら商売をする人」、「住ながら趣味感覚で副業をする人」と様々な生活様式がうまれることだろう。今までにない新たな生活様式がうまれることで、生活のバリエーションが増し、様々な生活風景が現れる。
教員講評
JR藤枝駅北側の1街区に、住宅80戸、商業・業務施設5,000m2、公共施設1,000m2、駐車場100台からなる都市複合体を計画する課題である。地下は計画しないという前提であった。地上1・2階の駐車場を大きなマウンドで包み込み、その上部に10層程度の住棟4本を林立させるというアイデアが秀逸であった。マウンド上部、3階レベルの緑豊かなランドスケープが平面図に記載されているが、マウンドと樹木という人工的な自然と上部の構築物との対比が模型においても強調されれば、さらに良かったと感じた。(佐藤)