なりわいと共に暮らす
松橋求道
藤枝駅前では再開発事業が行われ、静岡市のベッドタウンとしての整備が進んでいる。しかし、単なるベッドタウンとしての在り方ではなく、商業と一体となって成り立つような生活像があるのではないかと思い、この設計に当たった。ここでは住戸に商業のための空間が併設され、生活と混じりあいながら、その賑わいを外部に伝える。住戸部分は基本をメゾネット形式とした。店舗部分と住戸部分は可動間仕切りで仕切られ、一体的にも、別々にも使える。そして、公共建築として住戸の下部にホールが設けられ、上部での活動の発展を支えていく。ホールは大きく開けるような設えにし、ピロティのような形で使えるようにした。この場所での活動を発信するとともに、街の人々を受け入れる開かれた場を目指し設計した。
教員講評
再開発計画の対案として何ができるか、難しい課題だが、この案は非常にシステマチックな平断面構成の中に、街に繋がるス大きなケールから小商い的な小さなスケールに至るまでの、さまざまな生業を成立させている。道路に面した1階はコミュニティセンターのように市民が集まるとともにライブラリーや、カフェのような商業行為も行われる、中央の吹き抜けに面しメゾネットの住戸が囲み、住戸の一部は仕事場や小商のためのスペースとなる。大規模な建築の中に丁寧に練られたパブリックからプライベートまでの空間構成が秀逸である。(田井)