丹下健三／住居（⾃邸）

稲葉洋人

丹下健三自邸は1953年に竣工した木造住宅である。ピロティによって上げられた二階を住居スペースとした。また、公館としても機能していた。世界の建築の潮流や日本の住まい方、伝統的木造建築構造を再解釈した模範的な美しさをまとう、丹下健三の思想が凝縮された小住宅である。

教員講評

丹下健三自邸が題材に選ばれている。図面を読み解くと、この建物では「京間」、すなわち柱間の内法をモジュールにして平面が構成されていることを発見する。柱の位置を、その中心で押さえる「関東間」の設計に親しんでいる私たちにとって、意外な発見である。名作住宅の図面を読み解くことは、隠されたアイデアや苦労を発見することであり、推理小説を読むような楽しみがある（佐藤）。