[4年]講評会記録

Record of critique session


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SESSION_01: 大石康人

後藤:凄く面白い敷地だと思っていて、住んでいるのでわかっていると思うのですが、結局は南側が官公庁で、東側が繁華街、北側が住宅街とA、B、C、Dでそれぞれ性格が違う、内堀の橋なのか外堀の橋なのかでかなり変わってくると思うのですが、それぞれの敷地に対して繋ぐ事が違うというか、住宅街と内堀を繋ぐか外堀を繋ぐか、機能とか空間とかそれぞれ繋がっているのか、どのように対応しているのかという話を詳しく教えてほしい。

大石:siteAは、どちらかといえばワーキングスペースをメインとして、多目的スペースです。地域で話し合い、会議を行う際や陶芸教室などを開けたらと思っています。siteBはかなり住宅地に近くなるのですが、どちらかといえば学校に近いので下階はちょっとした図書コーナーとして機能させ、上階に会議室を設けて学校の先生方に使っていただけたらと考えています。siteCは商業地域に近いので、どちらかといえば人が観て周れるような展望台を設けました。siteDはコワーキングスぺ―スとカフェを設けて、個人事業者などに使って頂けたらと思っています。

金子:考え方としてお濠を繋いでいくというのはとても面白いと思ったのですが、siteAは繋いでいるところが空間と連関しているようにできていると思うのですが、他の三つは橋があって建物がある。そこが気になるところ。もうちょっとお濠の空間を繋いでいるというところを空間体験も含めて、いろいろなバリエーションがあった方が面白い。そして、一つ一つ、四つの繋がりがあって、それを通してこの公園全体がどうなってほしいと思っているのか、それが新しく加わることによってこの公園自体がどうなるのだろうという全体のビジョンがあれば教えてほしい。

大石:今後、駿府城公園の発掘工事が進んで、今まで以上に大きな広場ができたり、新しい施設ができたり、そういったものにアクセスしやすくなれば、今まで以上に活発になり、運動する際にも立ち寄ることができる場所になればと考えています。

中畑:siteの選び方は面白いですし、繋ぐという事はとても可能性を感じて面白いのですが、意匠的なところで、このハーフティンバーのようなものは、木なのか何なのか教えてください。 

大石:僕の個人的な趣味で静岡の木を使えたらなという考えでやっています。

中畑:地元の建材を使うということ以上に意匠的なものがお濠とか、伝統的な何かが繋がっているのですか。

大石:統一したデザインにすれば、繋がりが見えると思いました。


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SESSION_02: 監物速冬

金子:計画の目指しているものは、市街地の活性化が一番なのか、それともバスケットボールチームのファンが増える事が一番なのですか。

監物:チームのファンが増えるということは、アリーナに訪れる人が増えるという事になるので、市街地にあるアリーナの入場者が増え、ということは駅を使う人も増えることになり、活性化に繋がると考えています。

金子:そこまで考えているのであれば、駅から計画地まで行く動線の中にどういうものがあると活性化につながるのか、どういう交わり方をすると、極端な事をいうと、ここに建物が建つべきなのか疑問で、もっと街中の建物が沢山建っているところに建っていれば、より人が集まると思います。いろいろ調べてはいるのですが、それをもっと飛躍させながら考えると、もっと違う場所でもありえたのかなと思う。なぜこの場所にこだわったのですか。

監物:実際に市が計画地としているのがこの場所ということもあるのですが、この場所は緑が豊かで、運動公園には他の用途で来る人も沢山いると思います。例えば、市役所も近くにある、人が集まるような空間が沢山あるなかにアリーナを持ってくることでチームのことを知ってもらう、と考えこの場所に計画しました。

金子:ショッピング的な話が全然関係なくなってきていますが。

監物:そうですね。

金子:そっちとも絡んでくると面白くなるかなと感じました。

彌田:V(ヴィ)・ファーレン長崎というサッカーチームでは、駅前にスタジアムが建っている。監物君が言っている話だと、駅前とか街中に作るべきではないと。それが今の計画地に自分がデザインをしますと、そもそもその計画はおかしいと言っているにもかかわらず、それに乗っかってしまっている。もっと考えなければいけないという事と、“強制的”に市民がバスケットボールを見るという、“強制的”には嫌かなと。それは言葉の問題で、ここを訪れた人が自然とバスケットボールに触れ合う機会がある、みたいな表現にすること。言葉の部分で気を付けた方がいいと思います。そこは手厳しく言いたい。

後藤:前の2人の話に重なるところがあり、中心市街地の活性化という話の割に、3階がカフェで、公園の道も渡りベランダもぐるぐると周り、一番上がカフェで西側という事が結構回りくどい。その辺わざとやっているのではないかと思ったのですが、たどり着くまでのデザイン的な考え方があるならば教えていただきたい。

監物:カフェ用途が西側にある理由は、一般市民がスポーツと触れる機会を増やすために、アリーナに入ってから遠くまで、なるべく3階まで歩かせたかったという事と、実際の混雑も考え、いろいろな人が来ることを考慮し、テラスを付けることで動線の混雑を防ぎ、テラスを一周付ける事で外部からもアクセスできるようにしました。

後藤:先ほどの“強制的”というところからも、頑張って3階まで来たいと思うか、どうかなと思う。

彌田:折れ戸みたいな外観のデザインはどういう意図でつくっているのですか。

監物:緑豊かな場所にあり、アリーナはボリュームが大きくなってしまうので、公園になじませるデザインとして、木の幹のような質感を出した外観にしようと思いました。

彌田:テラスを道の延長のような、例えば商店街の通りの延長とした場合、商店街の通りには両サイドに店やアクティビティが道に隣接していますよね。それがあるから歩いていて楽しいと思う。それと連動してテラスを作れるともう少しデベロップメントできると思いました。


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SESSION_03: 池宮康清

長谷川:池宮君は模型がなかなかよくできていて、残念ながら上からしか見ることができない。中から見ることができたら面白そうだなと思います。この中に入った人はみんなは一階を歩くのですよね。四つの群を設けたり、いろんな道を作ったり、ボリュームやスケールを変えたりという努力はしているとは思うのですが、結局はフラットな地面のレベルをずっと行くだけの状態なので、なかなかこの視点の移動が無い。もっと上に上がれたりしたほうが面白い。屋根の下に上がっていけるようなことを考えられなかったのか。あとプランに関しても道を作ることを意識しすぎていて、結構単調になっているので、もう少し軸というか通路を崩した場を作るという発想でこの群をまとめると、もう少し違うありかたがあった。

池宮:場を作るというよりは、都田駅と商店街とを繋ぐような大小様々な仕組みを作り、その通路が交流のきっかけになるようなことを意識して作ったところがあるので、道のようなものを作ることを予定していました。

金子:いろいろな用途のものを混ぜて、道も含めた計画になっている。それが一個の空間に繋がってくるという様は面白いのですが、一方で用途がいろいろあり、最初の方では木材利用という話が出てくると、木材でどのような空間ができるのかというところの可能性のような、その場所の在り方と合わせて提案してもらい、それがどのようにして繋がってくるのか、空間とともに形を作るという連携がもっと見えるとよかった。それと、全部同じような考えで建っていますよね。なぜこの形にしたのかというところを聞かせてください。

池宮:実際にグリットを採用していることに関しては、古くからある1820mmスパンというものを採用して空間を構成したいという考えがありました。そして、この軒の出は卒業論文で軒の出指数という評価軸を研究していたので、実際に軒の出を持ち出すことや柱を立てる事、論文でやったことを意識してこの形になりました。

渡辺:もう少し街スケールの模型を見たい。というのは敷地は水路に囲まれているのですか、そこがよくわかっていない。

池宮:北側に川があり、地域循環の一部として沢を引き水を取り込んで農業に利用する自然の流れを採用しています。

渡辺:そういうことは良い。路地を作って何か地域を繋ぐという話だったのですが、敷地の中でテーマパークのように路地があり、周囲に広がっていくとか、繋がっていくというイメージに模型上、見えなかった。周囲との路地の関係性や建物の配置の関係性みたいなものを教えてもらえるとありがたい。

池宮:実際、東側に公民館があり、公民館との連続性を踏まえて同じような学習支援施設を作っていたり、南側が商店街になっていて、道を繋ぐようにして計画していたり、機能としても実際に農業の学習のような感じでこの施設が外部の農場に学びに行くシステムとして考えています。

渡辺:自由にいろいろなところから敷地内に入れるのか、路地が延長して道と繋がりその路地からアクセスする感じなのか、その辺はどういう動線計画をしていますか。

池宮:敷地周辺は道路に囲まれているので、実際に四方に小さな路地を設けています。

渡辺:水路を所々橋でわたってくる感じですか。

池宮:そういう動線になっています。

渡辺:そういう周辺地域から切り離された出島みたいなところに立ち寄るイメージに見えてしまって、それが分棟配置というか、群配置が路地計画みたいなものといまいちマッチしているようには見えずらかった。

中畑:木造の架構として特徴的な空間の構成はどこにあたりますか。

池宮:空間の構成としましては、あえて2mくらいの位置にフレーム材を配置していて住宅のスケール感を感じられるような構成にしています。上の屋根加工としましても実際に1820mm間隔のものを交差させていき、軒の出が引き立つような仕組みになっています。

脇坂:模型では透明な部材を材料として使っているのですが、実際にはどうなるのですか。

池宮:実際にはトップライトとして利用しようと考えているのでガラス張りになります。


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SESSION_04: 加藤弘章

森下:宿泊体験施設で、宿泊者が農家の一人として、実際にどのように運営していくつもりですか。一年中、農家さんは働くと思うのですが、宿泊者だけで賄えるのですか。

加藤:この地域の近くに千賀町の棚田という有名な棚田があり、そこが以前までの状態を維持できておらず、それを危惧しているNPO団体などがいらっしゃったりして、その方々がお米だけでなくお茶農家としても兼業でやられているので、ここの敷地も合わせて実際に運営していただこうと考えています。また、この規模になると農家さんだけでなく市役所の方の力も借りてやりたいと考えています。

金子:分棟配置にしてそれぞれを繋いでいるのですが、俯瞰で見ると東側が茶畑、西側が建物、分棟で様々なところに建てられる。二つに分かれている状態で、お茶畑の新しい風景を作りたいのであれば、僕ならば茶畑と混ぜながら新しい風景を作っていけると思うのですが、分棟にしている理由と完全に二つに分けてしまっている理由を教えてください。

加藤:近くに茶畑があり、それを利用する際に茶畑で茶摘みをして、さらにそこから体験施設に持っていき、手もみ体験をする、そこからキッチンで料理をし、交流室で味合わせすることができると思ったので敷地全体を利用していただくためにも分棟配置にしています。また、茶畑と大きく二つに分けてしまっている理由としては、実際にこの敷地は茶畑が結構植えられていたので壊したくありませんでした。あるものは残して、既存の道に対してランドスケープ的に分棟の建物を配置しました。

金子:光の当たり方とか、風の抜け方とかはお茶づくりには凄い影響を及ぼしてくるので、そういったお茶の育ち方とかを含めながら建物の位置とか、もっと考えていくと絡めながらも作れる、そうすると森で新しいことができると思う。

後藤:茶畑で新しく植えたのは東側だけなの?

加藤:比較的、東側には既に植えられていて、北側にも少し植えられています。下から見た時のランドスケープを重視したものや、実際に道を歩かれる方に対して茶畑が目印になって道案内のような役割も果たしています。

渡辺:すごくいい風景になっているとは思うのですが、引きでみた場合に緑が少ないというか、既存の茶畑なのかは分からないのですが、少しの緑があり、あとは裸の斜面に建物がパラパラと配置しているように見えてしまう。建物の周辺を茶色に仕上げている部分はどういう状態を想定して作っているのですか。

加藤:実際は茶色い部分は荒れ地で木が生い茂っている敷地にはなるのですが、運営してこの敷地が機能していくと思っています。一年、十年と経っていくと茶畑をより植えていけたり、木を手入れしていったりしようと考えています。今のところ荒れ地にはなってしまっているのですが、時間をかけてこの地域のものにしていきたい。

渡辺:そうすると、また緑が再生されたような山の状態、そういうものをパースとか模型で表現したらすごい夢があるなと。荒れ地をそのまま表現するよりは、もうちょっと先を示すような表現でもいい。模型がすごくいいのでそんな風に思いました。

後藤:荒れ地が再生されるというところまで考えているのであれば、再生されるまでが設計であってその最終的な形を見せた方がよい、という渡辺さんの言いたいことは僕も同じ。分散配置といっても、どこにでも建てていいというわけではなくて、ルールとかこう見えるからここを少し角度を付けようとか、分散配置のデザイン的な説明を聞かせてください。

加藤:人は下の方から入ってくるのですが、上に上るにつれてプライバシーが高くなっていく形になります。プログラムや敷地の形状からこのような配置にしました。

中畑:百分の一の模型の説明をしてよ。これはどういう考えで造られているのか。形式として建物周辺を周る考えは同じなのか。これが新しい形なのか。そこの魅力をもうちょっと教えてほしい。

加藤:軒下空間が広くつくられ、この地域をより感じてもらいたいという考えがあったので半外部空間を作りました。

中畑:この屋根がすごいじゃん。

加藤:敷地が西側を向いていて、採光が取れにくいという事と、軒下空間を大きくとっている事で、実際に屋根のトップライトから採光をとれればと思っています。

中畑:土壁にすると書いてあったものは何?これは地元の土を使うの?

加藤:その予定です。『風景資本論』という本があって、食べ物自体もその風景資本みたいになればいいなと。

中畑:もっと個々の話してもよかったんじゃない?


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SESSION_05: 定賀友吾

彌田  この曲面の屋根の設定というのはどういう風にされているのか。

定賀  用途とアクティビティによって高さを変えていて、大展示空間は屋根の高さを高くするなど、四種類の天井高を設定しそれを点在させています。

彌田  それをなだらかにつないでいると。

中畑  実際の表れとしてはコンタみたいな屋根なの。

定賀  実際は滑らかなものになります。

金子  これ形は面白いのですが、下がものすごく暗い空間だなと思って、採光計画がそれぞれの用途とどう絡んでくるのかというのを教えてもらえると嬉しい。

定賀  自分の中では、建物の中に入り込んだ時に外部空間が軒下の中まで続く構成なので大丈夫だと思いました。

金子  模型を見る限り暗そうだね。

後藤  今断面的な話を聞いたんだけど、円の内側と外側のアクティビティみたいなものは、円の中はテナントが入っていて用途がなんとなくわかるのですが、外側は実際どう使われるのか、あんまり差がないような気がしてそこのお話があれば。

定賀  展示会や博覧会をしますというときや、屋台を出しますというときにここも外部空間になるので。

後藤  それも図面上に書かないとどうなっているのかがわからないから、断面的な話、ホール部分の天井高が低いけど、上部は抜けているってこと?

定賀  ホールの上はブリッジがかかっていて、その部分で断面を切っている状態になります。

長尾  なんとなく疑問だった事があり、ストラクチャが一部だけ見えていて、屋根はすごく魅力的だと思うのですが、外観からだと閉じているときに南面の壁などが持っているストラクチャの機能が支えていますというような考え方をしているので、私はそこのところむしろ分節して、ここの屋根が持っているストラクチャと場を作るものと切り離せば、より豊かな感じになっていったと思うのね。このフレーミングの仕方もどこかに当てちゃって、水が入ってもいいという場所も作りながら、環境と内部という場づくりをやる考え方はなかったのですかね。

中畑  屋根があり、ユニバーサルなスペースを対応させなくてもありえたわけで、機能があって壁があってそれを支えている感じなので、そういう意味では機能と形が一対一になっているので、結構窮屈に見えるんじゃないかということ。

田井  建物に話が集中していますが、定賀君の計画はエリア計画だと思うのですよね。畑やコテージ、全体的なところも話を聞けたら。

定賀  自分の考えでは、北側にスポーツ施設があり東側から施設に入る動線になります。駐車場から計画した建物の中に入り、藤枝で有名な温泉やお酒、魚や山の幸を楽しんで行ったり来たりしていただく流れを生む配置計画にしました。

彌田  そもそもの疑問で、なぜ西焼津でやるのかということで、山と海で藤枝と焼津の特徴をここにもってきていると思うのですが、西焼津の良さってなんだと思って計画していますか。

定賀  西焼津の良さというよりは、自分が論文で研究した都市軸と南北の繋がりの交通軸を。

彌田  それでいうとこの西焼津は論文的にはどう位置付ける、今のところ魅力は全くないみたいになっているけど。

定賀  しかしそんな感じになったので。

彌田  それは西焼津の人がかわいそう。(笑)

定賀  藤枝、焼津の観光場所は藤枝が中心になっているのですが、西焼津は無い状態でその考えのもとで。

長谷川 地域性に基づく計画をしていると思うので、その分析からここに人が来るということでやっていてそれはそれでよくわかるのですが、結果できた建物は非常に屋根が気になる建物で良くも悪くもこの屋根が特徴、だけど中の空間もそのプランを見るとその屋根を活かしていないというか、この形がこの場所にあることが大事だっていうことがあまり説明からはわからなかったので、例えばこの屋根が上がっているところと下げているところにどんな意味を持たせたかというのを教えてほしいなと思います。

定賀  屋根の高さの違いはこの円の外の展示空間の大小によって変わるので、例えば小さいモノの場合そのモノに集中させるために屋根を低くし、大きいモノを見したい場合は屋根が高いような感じです。


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SESSION_06: 千葉大騎

彌田:四つのタイプがあると思うのですが、それぞれのデザインコード、作り方が違うということで、例えば中庭型は片流れ、縁側型はフルフラット屋根で他はプランが違うと。なぜそうなったのですか。

千葉:中庭型に関しましては、中庭を二つ設けることで採光をとり屋根は片流れとしています。各居室にもハイサイドライトを設けて光が入るようになっています。縁側型は三点を囲むように縁側があることでグループホームの人だけでなく、ほかの人も気軽に利用でき、広い空間というよりは落ち着いた状態で利用できるよう計画しています。集会型は空間を大きく設けることでレクリエーションなどもできる空間にしています。最後のペット型はなるべく壁を減らし、四つの空間が繋がることで、人間だけでなくペットものびのび生活できる。というコンセプトで作っています。

彌田:人が伸び伸び生活するためには円形なの? 

千葉:円形の方が温かみがあると思っていて、角ばっていると愛犬が走り回る時に角が危ないということで円形にしています。

金子:四つそれぞれ入る人の性格によって変わってくるとは思うのですが、全体として町のようなものを作っていて、中の施設は配置の仕方や住む人たちからすると必然的な計画とかはどうなっているの?

千葉:ダイアグラムにも書いていて、宿泊・娯楽施設を西側に設けることで、西日をなるべく町全体に入れたくないということもあり、大きくなる施設を西側に配置しています。搬入などをよく行うことから食品系を入り口から近くに配置し、中心に芝生の広場を設けることで途中でコンビニや、食品を買って自分のグループホームで料理した後、ピクニックのような形をとることができるような構成にしています。

金子:一人で寝る人や、集団で暮らしたい人を分けて考える。例えば、カラオケとかみんなで歌いたい人や一人でやりたい人とか、いろいろあるとは思うのですが、全部一概に書いてある。必要な場所によって変化したり、もっと細部まで見た時に繋がり方は複雑で、絡んでくる。住むタイプの違う人の気持ちになって考えると、もっと複雑かつ実際の生活に近づけるのではないか?全体的に隔離されている感じがすごく強いので、暮らす人が本当に快適だって思えないと入りたくないと思う。もっと人に寄り添うように考えていくと、良くなっていくと思いました。

森下:四パターン作っているのですが、中心が生かしきれていない感じがすごいあって、もったいない。敷地の周辺ばかり使う感じですか。

千葉:あくまでグループホームをメインとして設計しているので。

中畑:非常に今日的な問題、重要な問題に取り組んでいてそこは面白いなと思いました。場所も含め、どうしても認知症の方というのはこういう風に囲わなければいけない、そういう意味では配置計画というものは単調にならざるを得ない、そういうところへの配慮、事例を踏まえこういう形になったの?

千葉:事例を踏まえ、カタチが単調になっているのはわかりやすくするためです。

中畑:囲い込まないと出て行っちゃうということで?

千葉:それもあります。さらにはセキュリティーの問題で外から全く知らない人が来る際もなるべく入り口を固めることで、不審者が変なところから入ってこないようになっています。

中畑:そこは分かって、逆にそこが課題だと思います。ゲートを固めればできるが、もっとそうじゃないギリギリのところで考えられなかったか?あるいは地形的な処理で分かりやすい柵ではないけれど、外にいけないようになる、そのあたりうまく使えたらすごいいい提案になったのではか?だから、場所選びも含めて可能性を感じますよ。


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SESSION_07: 市川亜美

中畑:ここに建っているものは全て既存のものですか?

市川:はい。既存をリノベーションしたものもあります。

後藤:これは全て既存で空き家になっているということですか?

市川:空き家のところもありますが、集団建て替えといいますか、区画整理というかたちで行っているので、すべてリノベーションしています。

後藤:住宅の単位空間を解体しているのはなぜですか?プランを見るとキッチンや書斎、全部があって共有されていますが、キッチンはキッチンでまとまっていたり、シェアしているのかしていないのか。わざわざ路地を通らせるためにキッチンはキッチンで集めて、寝室は寝室で集めて、子供部屋は子供部屋で集めて、何家族分も。

市川:住宅の中だけで納まっているキッチンなどをバラバラにすることで、例えばこの新築でできたRC造の部分を廊下代わりに使用できたり、そうすると活動自体が空間にあふれて、街の人ともつながってくるので、街全体が家族という考えでやっています。

脇坂:シェアハウスの家族像というのは、どういう家族像を描いているのですか?夫婦レベルなのか、単身なのか、子供もいるのか、どういう設定ですか?

市川:いろいろな家族が来てほしいっていう願いもありますが、老人の方も多く住む地域なのでそういう人たちも個々に住めますし、空き家になったところにまた新しく若い人たちが来ることで活用されてほしいという考えでつくりました。

金子:非常に面白いなと思って見ました。ゾーニングのところも大事になってくると思っていて、公共的ないろいろな人が入ってくるところと、プライベートなここに住んでいる人達だけが通過できる場所だとか、そういう動線的な絡みに応じて場所も出てくるっていうリビング的なスペースもプライベート差が変わってくると思うのですが、そういう考えがあるなら、教えてもらいたい。

市川:この通しているRCのところには、“会話が起こる”場所になっていて、例えばダイニングやリビングと一緒になるので、街の人全体とコミュニケーションが取れるというのが通路部分で、街の人も温泉には来てくれてもいいですし、こういうリビングも使ってくれていいということで、少し会話がないかもしれないけれど、そのような空間が横に出てきていたりしています。また、寝室は隅っこになっています。

金子:既存というか、道路というかそういうものの使われ方はどう想定しているのですか?

市川:既存の道路は床の高さが上がっているので自転車が通ることや、近道ができるように住民が使ってくれるように考えています。 

渡辺:緻密に考えられていて面白い提案だと思います。防火や防災もコミュニケーションに絡めて計画されているのもすごく説得力があるなと思いました。構造的にはどうですかね?RC造を差し込むなり、いろいろしてくってことは、そもそも木造も補強として使えると思うのですが。

市川:構造についてはあんまり詳しくはないですが、木造密集地域、このごろ建て替え問題が起きていて、ここの地域もそういった問題を抱えています。空き家がこうやって残されている状態なので、今の状態を残しつつ解決できることはないか考えこのようにしました。

長谷川:図面が分からなかったので、模型と説明を受けた感想でいうと、やっていることは面白い。リノベーションの場合は、何をしたのかをはっきりしてもらえるとわかりやすくて、どこが既存でその既存に対してどこを変えたのか、分かったところもあればわからなかった部分もあるので、防火壁を入れたり、RC造を入れたりっていうのは有効だし面白い。そしたら既存はどうなったかっていう話もありますが、自分で造ったRCのモノが、どう効果があって、この町にどんな価値を生み出すっていうところをもっと詳しく教えてほしくて、模型だけ見るとRCが寄っているところがありますよね。そこがこの計画の新しく考えるポイントだと思うので、それが道で切りっぱなしに終わっているように模型では見える。そこを可能性として作り出せるともっと良いなと。

市川:町の人がセカンドショップのような感じで、いらなくなった服を売ったりできる場所として、例えば八百屋さんの場所がなくなってしまったというときの自由に場所を伸ばすことができたり、今はなくなったお茶屋さんがまた入ってやってくれたりすることがあって町が循環するのではないかと考えていました。

長尾:実は私の卒業設計もこういう感じで、デコンストラクティビズムなのだと思うのですが、これを“令和のデコン”と命名したい。既存のバナキュラーが強いものに対して、挿入することによって何かが浮かび上がるという手法だと思うのです。市川さんがそこに対して意識的ではないという事に妙さがある。それによって浮かび上がらせないと、木密の面白さとかとか、そこをもっと意識的にすると、道の幅や建物の高さが変わってくる気がして、デコンを勉強してみてください。

彌田:複数の家族を一家族にするというのは、そう定義してこれを作るということですか?

市川:この計画自体を町家族という複数の家族一緒にいる感じで、1人のおばあちゃんも他の家族と一緒に暮らしているみたいなものと、街の人が外からくるというものもプラスアルファで家族になりえるのではないかという考えでやっています。

彌田:それで将来的にそう見えるということ?

市川:はい、そうです。


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SESSION_08: 澤木華

中畑:敷地模型も力作だと思うのですけど、曲面というものが一つ、大きい。単に形の話だけではなくて、この形自体、曲面ということにいろいろな意味を重ねられる、ということだと思うのですけど、もう一度おさらいしてもいいですか。最後、言いかけていたへこみは何だったのか?

澤木:大きい建物より小さい建物は内同士で関わりを持てるように、ベクトルが1方向へ向くようにして、大きい建物は内だけに向いてしまうと外との関わりが薄くなってしまうので、窪みを持たせて、ベクトルを外の方にも向けられる、外からのへこみなので。

中畑:窪むと外なの?その理論を教えて。

澤木:これが一つの形とすると窪むことによって外の面になる。へこんだ部分が外になる。

中畑:イメージ的に言うとグッと外を中に入れてくる、そういうイメージ?

澤木:そうです。力を加えたような。

中畑:そういうことをもとに全体の形をつくっているの?

澤木:はい。

金子:形の話に重なるのですけど、平面的には曲面の作り方をしていますけど、断面的には単純に面を分割させている。今の議論が断面方向にも入ってくると、床の形がフラットではないなど、ほかにも出て来るのではないかと思った。その点、考え方にこだわりがあるように見えて、何かあれば教えてください。

澤木:断面的に特にこだわった点としては、20の広場を提案したのですけれど、「むぎむぎ広場」というのが私は気に入っていて、リアホールの上に料理系の本を置いています。普段、図書館は食べ物に関する本はあるのですが、本物の食べ物と触れ合うようなことはできないので、下にビールなど本物の食べ物を見ながら上で料理に関する本が見え、断面的にご飯を食べる場所、本を見る場所という繋がりそうで繋がらなかった部分を繋げるような構成としました。

金子:用途的な話での繋がりになっているけれども、そこに形も混ぜてもらうと平面的でやっていることもできるのかな。

澤木:ありがとうございます。

森下:断面の話なのですが、全体的に層が同じ階高になっていると思うのですけど、何かそこにはこだわりがあるのですか?

澤木:一番下だけ4000㎜になっていて、あとは3000㎜ずつになっています。

森下:繋がりを作る上で道路が下がっていると思うのですが、3000㎜でなければならない理由は?

澤木:本棚があった時に3000㎜の方が上に空間ができるので、その方が広場としての解放感が持たせられると思い、3000㎜にしました。

森下:もう少し変化があっても良かったのでは?体感的な見た目が出てくるのかなと思います。

彌田:3000㎜だと住宅スケールと公共施設のスケールのちょうど中途半端な間くらいのような感じがして、一部、吹き抜けがあるのでこういうところは意識されていると思います。そういった標準階高の設定をもう少し考えても良かったのかなと思います。ランドスケープまで考えようとしているのは読み取れるのですが、なぜこのような配置なのかを知りたい。

澤木:広場一つ一つにテーマがあり、中心に来るところに一番大きい広場を設け、歩道のところには長い広場といって、歩道と広場の面する面積を広くしています。

彌田:ボリューム感というのは周囲のボリュームを見ながら、こっちの方が高い方がいいなど、そういうこと?

澤木:はい。周りを見ながら決めました。

彌田:という意味では何に気を付けているのですか?周りを見ながらという時にどうなるように建物を配置しているのですか?

澤木:浜松駅が南にあるのですが、敷地に直結しているので道路から来た時に敷地の一番顔となる面が駅方面の道路側なので、そちらに比較的低い建物を置いて、北に高いものを置くことで広場全体の在り方が見えるようにしました。

彌田:あくまで南の広場の部分が入りやすい、アクセスしやすい、入ってこられるようにということ?

澤木:歩道と人の流れで配置しました。

渡辺:せっかくこういう曲面の生き生きした形なので、浜松の駅前って区画整理されていてあまりいい状態になっていない、賑わっていない。 周りの建物もそこまでいい建物とはあまり思えないので、この敷地に収まらずに、曲面の形が周りのビルなどに絡んでいく、増殖していくようなそれくらいはっちゃけていてもよかったのかなという気がします。卒業設計ってもっと爆発していてもいい。せっかくこういう案なので。すごい頑張りは伝わりました。


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SESSION_09: 名倉颯人

彌田:現在ここが参道?

名倉:そうです。

彌田:参道を東につなぎ直している?

名倉:参道の北東が新設道路で、飲食店が多いため、裏方の車のための道路です。

彌田:向きを解いて参道をつくったということ?

名倉:遊歩道を使って、来客します。

彌田:それが分かっていなくて、建物は新設?

名倉:そうです。

彌田:既存、ここに今は何もない?

名倉:既存に飲食店があります。

彌田:それを建て替えているということ?

名倉:はい。使われていない建物も新しくしてしまおうという考えです。

金子:袋井宿絵図が敷地?

名倉:違います。ここは現在、袋井市役所の南側で宿場町という現状を伝えるためのものです。

金子:川を戻すのが良く伝わらなかったのだけど、なぜそうすることに意味があるのか教えてもらいたい。

名倉:人が動くこの動線に対して両側に建物がある。昔なので建物があまりない。自然に囲まれているというのと、宿場町が川に囲まれているので、川と自然に寄り添う。別々のタイプである線上都市、自然環境、川というのをテーマにして、できるだけそれらを1つにして表そうと考えました。

金子:既存の川のある場所ではなくて、わざわざかつてあった場所を復活させる意味がよくわからなかった。

森下:門から駐車場のあたりまで、新しく川を戻してきたのですけど、単純に遊歩道のわきに建物があるだけになってしまっていて、川と建物の関係がある方が川を元に戻す意味があるのかなと思います。その辺は何か配置などにこだわりがあるのでしょうか?

名倉:建物それぞれの用途に意識が向いていて、建物と川の関係性をあまり作れていませんでした。

森下:そこがもう少し出てくると川を表せるのかなと思います。

長尾:この間、丁度、法多山へ行って、団子を食べたり、別館のようなところで色んなレクチャーをやった。門の中で意外と色んな事が起こっている、それがにじみ出てこないと面白くない。法多山は基本的に檀家さんを持たないけれども、皆さんがすごく大事にしている場所じゃないか。その本殿で何が起きると良いのか。名倉君なりの答えが欲しいと思う。あの場所は何か大事なのでは?団子が下でも食べられるなどそういうことはないのか?

彌田:長尾先生の話はすごくその通り。それをする上で、彼がやった、取り払おうというのはすごく良いことだと思っている。袋井宿場町ならではの暮らし方や楽しみ方はどのようにして作れるのか。それは加藤君の時に思ったのですが、茶畑に隣接して暮らすと、我々はそこに居たくなるだろうか。良い所をもっと伸ばしてあげる、それをするためには暮らし方のようなものをかなりリサーチ、体験した方が良いのではないだろうか。それを図面で見ると、何回リサーチに行ったのだろうかという感じがあるのが残念。

金子:それでいうと、ここに門がある。そして参道があるのだよね。道がつながっている奥まで含めて計画してもらうと、建物を境に東と西で関わってくる人が違ったり、暮らし方が違ったりするのでそういう所で対比的に見えたり、グラデーションに空間が変わっていったりする。法多山で関わる人々がもう少しミニマムな視点で表現されていくと良いなと思う。特に模型に門すらないので、どこなのかすらわからない。

長尾:松並木のきれいな田んぼがあるのでは?

金子:そうなると、ああ、いいねとなる。


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SESSION_10: 中村有里

金子:模型の中に図面にはない四角いものが入っていたので、これはどういうもの?

中村:断面図にはあるのですが、模型の製作上、2枚に分けることが難しかったので。それぞれ、天井の反響板、正面の反響版、横の反響版となっています。通常の音楽ホールとしての利用方法と上に跳ね上げて外からも見える状態にする利用方法があります。

金子:上に上げるの?

中村:上に上がります。なのでフライタワーを設けて、上に吊り上げます。

金子:そうすると屋外で使うこともできるし、反響版を開けて中から街中でやっていることも見ることもできるし、それはとても気持ちいのだと思うのですけど、客席にいた時、ホールで何かやっていて、街並みが映ると。その街並みはどのような街並みでだからこの場所にしたとか、どういう場所だからここに人が上がってくるのか。人の動きや風景の在り方がこの場所を決める、建物の向きを決める大きな理由になるのではと思ったのですが、その考え方を教えてください。

中村:ここの部分が浜松の中でかなり大きな通りで、人の行き来がものすごく激しい道なので、そこを通る人が演奏会しているなという雰囲気を見ることができます。

金子:舞台側は図面でいうとどの位置?

中村:西側が鍛冶町通りになります。

金子:ではこちらが遠州ビル的なものですね。

中村:こちらはヤマハのホールと、居酒屋などが並んでいます。

中畑:演目や内容を含めてどちらかというとすごくクラシックよりカジュアルな感じ?

中村:クラシックもできるけど、カジュアルもできる形です。

中畑:かなりクラシックにいくのなら、アクトホールを使うと。本当にカジュアルで行くのなら1階に下げてしまえばよい。周りにある既存施設の棲み分けというのはどのように考えているのか?

中村:1階の計画もしていたのですが、レストランを設けたいと考え、場所を検討したときに、ホールの上に持ってくることが難しそうだったので下にしました。

中畑:そこはかなりポイントだから、

彌田:中村さん的に松菱跡地というのはどういう風に認知しているのか?浜松にとってどういう場所だと思って設計しているのか?

中村:今、空白の土地になっている。浜松の活性化とは逆の状態になっているため、どうにか活性化できたら良い。

彌田:それはそうなのだが、なぜ今、松菱跡地がこんなにも空いているのか。浜松にとってこの敷地はすごく大事な場所でここに何が建つか様々な提案があった。なかなか難しい場所である。そこに音楽ホールを持ってきましょうということは有りなのだけれど、松菱跡地にふさわしい音楽ホールとは何だろうということが形態に表れていてもいいのではないか?僕はホール自体、上に浮いていることは問題ないと思うけど、その場合、ホールだけが上に浮いている、下は全部屋外空間にしてしまう。例えば、現在駅前で行っている路上ライブの人々は屋外空間でライブを行い、いつかは上のホールでやりたい。というような夢を持てる音楽ホールだと良いなと思います。そのような使われ方にはまだ見えていないという批判でもあります。中村さん的にここが素晴らしいというところを言ってもらえればいいです。ここが売りです、のような。

中村:下で路上ライブをしていた人が上のホールで演奏をするという発想がなかったです。

彌田:面白い案だとは思いますが、もう少し在り方があったのではと思います。

金子:壮大な庇が出ていますが、どのように作ろうとしているのでしょうか?

中村:吊ろうと考えています。


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SESSION_11: 太田帆乃伽

金子:既存の団地に何かを加えたり、再構築したりして新しい場所に変えていくことは現代の建築でもやられていることですが、ここではどのような意味でボリュームを独立させ、繋いでいるのか?例えば、繋げようと思えばボリュームで繋げると思うのですが、わざわざ外廊下のようなものを作っているのはなぜか?雨の日も大変ですし、間のボリュームへは直接は上へ上がれない。わざと動線をこのようにしている理由を教えてください。

太田:ボリュームで繋がなかった理由は、現在、真ん中のボリュームがない状態で建っているのですが、同じものが並んでいるだけで窮屈という印象がある。

金子:直接上がれない理由は?

太田:後半に気づき、直しきれなかったからです。今、考えてみると、子供が帰ってきて、そのままリビングに上がれる方が親も安心ということもあり、上がれるようにした方が良かったと考えています。

金子:なるほど、僕の思っていたことと少し違います。少し引っかかったのは、先ほども誰かの発表でも聞いたのですが、外国人と高齢者がいるからこの場所が暗いと思われている、という一言がありましたが、それはどうかと思います。そうなった時にもしかしたら、そうだから住人を入れるために団地の中を通らせ、混合させようと考えてこのような動線計画をしたのかと想像しました。そういうわけではなかったのですか?そうだとしてもそれはどうかな。

脇坂:プランを見ると、住戸は寝る場所だけのように計画されており、キッチンやリビングのような機能は別の場所に集約している?実際にはどこになるのですか?

太田:内側の方に、浴室、キッチン、リビング、ダイニング、子供が勉強できるようなスペースを計画しています。

脇坂:様々な人がいるから気の合う、合わないとかが起きてきますが、どのように振り分けていくのですか?

太田:共有キッチンなどは団地内に複数用意されているので、そのような場合には別の場所を使ってもらうことはできるようにしています。

脇坂:外国人だけで、日本人はいないのですか?

太田:日本人もいます。

長谷川:既存の団地のリノベーションということで、色んなものを入れたり、変えたりしているのですけど、これを行ったことで具体的に場所としてどういうことが良くなったか?ここが良くなりましたと一番自分で思うところを太田さんの言葉で聞かせてください。

太田:駐車場ばかりで人が集まれないところに、広場をつくることができたこと、閉鎖的な印象である団地を外部からも入りやすい印象にできたことです。

長谷川:特に改修の場合はどういうことが改善できればいいかというゴールを自分で設定しなければならない。前より良くなるにはなるのだけど、どこまでできれば課題が解消され、逆に良いところ、特徴がもっと伝わるように見せるには、まず自分が考えるゴールをはっきりさせ、それに向けてこうした、という説明の仕方をしてもらうと聞いている方は納得感が強くなる。そのような意識をしてもらえれば。

長尾:真ん中になぜこれを置いたのか、疑問でした。中間というのは別に領域の話ではなくて、感覚の話ではないですか?しかし、物理的に真ん中に置いている理由というのは何ですか?

太田:真ん中に置こうと思ったきっかけは、橋をかけられない、仲介をしなければならないと考えた結果、あまり長くしてはいけないという自分の考えです。

長尾:真面目なのですね。もう少し分散してもいいのではないか?ブリッジが2m飛んだところにあり、また3m飛んだところにあるようにもっと自由な感じで。分岐点、ハブをたくさん作るプロジェクトなので、それによって内側が良くなる。それならば近づけているハブがあっても良い。自分で自分を縛り付けている気がします。そこはどうでしょうか?

太田:たぶんそうです。

長尾:そうするともっと面白くなる。橋とくっつけてしまえばテラスが広くなるなど、改めて思います。

中畑:地下の駐車場は、人工地盤を作っている?

太田:そうです。下がもともとGLで、上が人工地盤で上げた位置です。中畑:これはすごく面白い。真ん中のボリュームの処理を、暗くならないように人工地盤的な考え方で広場を作りながら行っていくのが良かったのでは?構造的に地下は壁になるのでは?ラーメンの柱だけで持つのかというところはあるが、その部分をクリアすればよい。このアイディア、僕はいいな。これはほかの団地リノベーションに無い考え方です。駐車場を地下にして、人工地盤の上を開放する。


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SESSION_12: 鈴木那美

脇坂:これはテンポラリーなもので、期間ごとに入れ替わるのですか?

鈴木:そうです。空地の場所に仮設的なものを作って、そこに建物が建つとなったら、近くの空地に移動して建物を建てる。どんどん移動していく形になっています。

金子:静岡市の真ん中のあたりはこのような試みは行われている。元々、水道局の今、建っている前の空地だったところにコンテナを置いて、それをいろんなイベントスペースに使ったり、シェアショップに使ったり、かなり行われている。そのような土壌の中では、流れの中にある提案だと思います。どのようなものがありえるのかと見た時に、割とどこでも成立してしまうようで、空き地ではなくても公園の中でイベントを行おうとしたときにこのようなことができるのではないか?空地を使いながら空地を移動していくのであれば、空地を活かした空間の在り方があると良い。例えば、空地になっていると空いたところの壁面が本当は表ではないということがあり、そのような特徴を出すなど、本当は裏だったところを表に出すような使われ方があるとすごく面白い。そのようなことは考えなかったのですか?

鈴木:見えなかった部分が表に出てくるというのは思いました。空地では、空を見上げると建物が建っているので空の高さ、広さが場所によって変わってくるのです。空地によってその場の環境が違ってくるので移動を考えて大きさや組み立てやすさを考慮しました。地域のイベントにしたかったので移動をイベントにすることを考え、なるべく簡単な形でかつ、空間の違いを3つ提示しました。例えば高さが違うとなると、一番下から見る上の景色と、上に登ったところから見る景色は少し違うだけでも空の広さは違ってくると思います。裏だった部分が表に出てきてというところや、繋がっていなかった部分を繋ぐというのは移動する際に難しくなってしまうので簡単なものとなってしまいました。

中畑:非常に現代的というか、今日的な提案。いいなと思いつつ、かなり微分的ですよね。小さなものをバラバラとばらまいて、テンポラリーな使い方をしている。応急処置的に見える。現状に対して今このような手当をするという風に見えて、何かその先があるのか教えてください。

鈴木:応急処置なのです。先ほど、お金の話を割愛してしまったのですが、提案として、空地で経済的な活動が行われています。現在はコインパーキングになっているので、土地の所有者は少しでもお金になればいいなと考えていて、無料の休憩場所や店舗を開くということはできないと考えられます。その空地を利用すること自体は無料でできます。休憩場所や店舗を開き、利益が出る場合は土地の所有者と運営者と周りの地域の方とともに運営することとなります。利益の40%を土地の所有者に収めることとし、収められた料金の半分が土地の所有者のもので、もう半分を周りの方々で分け合う形をとっています。それだけでは利益が足りないと思われるので、その地域のメンバーシップを作ります。地域によってテーマを設け、活性化を促すために色を持たせました。活動を応援したいという方がメンバーシップに登録し、様々な特典が得られ、応援ができるというものです。

中畑:すごくいいと思います。仕組みまで考えられていて、ミクロでマイクロ経済を考えているのがいいなと思ったのですが、聞きたかったのは、応急処置的と言ったのは、都市のボイドがどんどん増えているから、ある種の人口など、もっと大きな構造的な問題があり、空いていかざるを得ない。あなたがいいと思う、理想のボイド率、このくらいのところで定常してくれれば静岡は面白いのです、というビジョンを出してくれればすごく納得するのですが。非常に悲惨な状態に対して絆創膏を貼っていくだけというのは寂しい。そのくらい壮大なテーマだと思います、面白いです。

田井:応急処置の先に鈴木さんの都市の理想像を語ってもらうとわかるということです。

中畑:ここからこのボイドが埋まっていくことは、なかなかなさそうですよね。

鈴木:今、空地が空いてしまっているのは人がいないから、奥までいかないからです。主軸があるのですがその周りにも空地ができてしまっていて、それは栄えていない、人が減ってきている証拠だと思います。そこに今、再開発がされており、新しい店舗ができています。しかし、そこまで人が伸びないので、空地を利用して休憩場所を作るとそこまで歩く元気が復活します。よって、店舗や人が集まる施設が建つように促す提案なので、空地のみの設計というよりは空地を利用して街が活性化するように作っています。空地が今後増えぬよう、元の都市に戻すための第一歩として考えています。

彌田:中畑さんがおっしゃったのは、すごくいいパーツだと思いました。戻していくとしたときに、全部建物になったとします。それまでは人が入り込む余地や活動があったのに、戻ってしまうとそれができなくなるということではないですか?そのような意味ではそのバランスがあった方が良い。今僕が関わっている街も空き店舗を使っていたら、テナントが埋まっていて逆につまらない、空き店舗作ろうぜ、そしたら自由に使えたり、誰か来たらあそこ使えたりするからいいよね、ということを言ってほしかったです。

鈴木:すみません、軸が埋まってほしく、周りの裏が空きであってほしいということです。うまくまとめられませんでした。

脇坂 はい。ありがとうございます。特別3分オーバー(笑)


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SESSION_13: 西田英一

脇坂:カフェは何席ですか?

西田:7テーブルあります。1テーブル4席なので30位と、キッチンのところにカウンターもついているのでプラス8人です。

脇坂:市のハザードマップ的には、ここはどのような位置付けですか?

西田:ハザードマップは見ていませんでした。

脇坂:(絶句)

森下:今之浦私有地と今之浦公園と隣接していますがそれらとの繋がりは何かあるのですか?ここはアクセスしにくい場所だと思うのですけど、それを踏まえた上での計画なのか、人が集まりやすい場所なのか、この場所に必要なのか?

西田:公園との計画はあまり連携することは考えていないのですが、川によって3つに分断された領域になるので、この敷地は磐田の真ん中のあたりなのでそういった意味では人は集まりやすいと考えられます。遊歩道が川沿いにあり、東海道があるので、そこを散歩する拠点の一つとして設計しました。

金子:ここの立地を見ると、配置図でいう南側に大きな道路とつながっているにはつながっているのですよね。わざわざウォーターフロントのような場所を作って、距離を近づけ、他との関連が大事だということだと思うのですが、施設の運用も含め、どういう水との関わり方をするのが良いと思って水辺を繋ぐことが大事になってくるのか。それと設計がどのように関連しているのか教えてください。

西田:水辺との関連性とこの設計については実際に現地へ行って水辺を歩いたのですが、より水辺の近くでアクティビティや散歩を行う人はあまりいなくて、整備もされていない状態でした。水辺との関係性を求められている時代なので、より近くに水辺を感じられるように作りました。

金子:水辺との関係性を求められている時代。すごくざっくりしているのですけど、そこに実感がない。実感があって、自分なりに大事だと思うからこそ、わざわざここを歩いて渡り、人が集まってくる場所を作りたいという信念があると、こういう場所が欲しいと思えてくる。そのようなことを語ってくれると僕らも乗りやすいです。

長尾:伺いますが、今之浦川では魚が釣れるのですか。

西田:釣っているのは見ていませんが、歩いているときにチラホラ泳いでいるのは見ました。

長尾:釣りができて、釣った魚をカフェで食べられるような、そういうことはないですか。

西田:考えなかったです。

長尾:西田君のきっかけはすごく良いと思います。西田君自身があまり楽しんでいない感じがするのは気のせいですか?

西田:はい。

中畑:僕も同じでこの水辺というのは確かに魅力的になりうる要素だと思います。公園があるのだから、水辺と公園でランドスケープをやればよかったのではないか。無理に建築を作ろうとするからこういう横暴になってしまったのでは?卒業設計だから必ず建築物でなければならないというわけではない。そこを楽しんで自由に自分のやりたいことをすべきで、もっとやりたい方向に向かっていけばよかったと思います。

西田:ありがとうございます。

金子:屋根はどのようにな意図があってこの形になったのですか。

西田:魅力的で面白い形になればいいと思いこの形にしました。

長尾:かわいいね。

脇坂:階段は何処にあるのですか?

西田:階段は作っていなかったです。真ん中にはエレベーターがあります。

脇坂:エレベーターのみ?

西田:そうです。

脇坂:見ている下級生、階段は作りましょう。無かったらドボンですから。


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SESSION_14: 野末大輔

金子:これ、設計したのは、一棟だけですか。

野末:一棟です。

金子:かなり挑戦的な作品だと思います。説明の中では地方都市が衰退していて、商店街があって、そこで人気スポットを作るのが大事だという問題提起ですね。では、どれだけの分析をして、ここでこそできる人気スポットを練りに練って、この延べ床面積300m²という建物1つに集約して作ったのか、非常に気になります。なぜか教えてください。

野末:熱海や富士で事例調査したり、他の商店街を見て回ったとき、店に入って食事や買い物をすることがあったのですが、この建物では参加型であり、自分で持ち寄った食品や料理を1階のキッチンで調理します。また、通勤・通学で通ったり、地元の人が公園のように立ち寄ったりするスペースを考えました。

金子:ほかの場所でも同じことが言えそうだと感じました。ここでないとだめだということは有りますか?模型の作り方は面白いと思います。実際の立面の写真を撮って、張り付けてというのは。

田井:皆さん同じことを思っていると思いますが、論文の時から言っている地方都市の衰退とか、商店街の衰退に対して、どれ程ここが対応していくか?一つに絞り切ってやったのであればそれは良いとします。それがプログラムとしても、建築としてもプロトタイプとなりえているのか?というのが大事。建築的にいくつか光庭を取り入れるなどはしているが、そのような物の有効性が商店街の中でどれほどのものか?プログラムのゲストハウスが、ほかの建築に展開していった時、同じようなことを行っていくのか、それとも違うことを行うのか。そのような全体像をもう少し説明してもらいたい。

野末:全体像としては、いくつかの用途、プログラムの話がありましたけれども、富士吉原商店街の中には2か所のゲストハウスがあり、今回の敷地を入れると3か所目となります。大型ホテルがないということもあり、分散してゲストハウスを配置することで宿泊を補えるのではないかということを考えました。これからのプロトタイプという話では、足りないものを新築で作ることが可能と示したかったです。

金子:この街に行くと、今、レコードショップなど書いてありますが、この建物ができることによって町とどういう繋がり、関連性が生まれてくるのか?この建物がクリティカルな一つの提案として町全体を考えた時にこれを作る理由があるのか?この商店街全体との繋がりをもっと言ってもらえると良いです。

野末:プログラムとして、ゲストハウスの食事についてなのですが、昼や夜は商店街の飲食店、居酒屋で食べてもらい、朝は干物屋や、果物屋に協力してもらい、自分で買いに行ってもらいます。朝の商店街を歩くというプログラムを立てて、宿泊プランとして考えています。

長尾:もっと商店街というもの、地方都市であるということに分析が欲しい。私は車が商店街を潰していると思います。皆、歩くことを拒否しているから。目の前のコンビニになぜ車で行くのかと思うくらい皆、車を使っている。商店街は一番打撃を受けていて、歩かないから、町なのに面白くない。リニアさ、というのがすごく重要で、それを点でしか答えないということが問題。点をもっと分散させて、歩かせることをしない限り、商店街は復活しない。そこについて何か分析は有りますか?若いなりの視点から。

彌田:衰退しているとは何ですか?例えば、ここは野末君が生まれた時から衰退しているのかな?50年前から比べると衰退したとかあるけど、20年前からは変わってない可能性もある。では50年前に戻った方がいいのでは?何をもって地方の衰退というのか?それを疑わないといけない。経験していないのだから。衰退していたとしても、街の人なりに面白く生きているのですよね?ですから、衰退したから何かやりましょうではなく、衰退しているけど、こういうところが面白いですよね?こういう場所ならもっと面白くなりませんか?という風に、それが人気スポットになるのではないですか?地方なので人口減少により衰退です、といったところを疑った方がいいのでは?皆ももっと疑った方がいい。目で見て、ここが本当にダメなのか?良いのか?というのを判断すべき。これだけ歩いてきました、という写真がないのもどうかと思います。理工科大の特徴になってしまっていて残念。

野末:ありがとうございます。

脇坂:ありがとうございます、ではなくて答えてください。

野末:確かに長尾先生や彌田先生の話にあった通り、商店街全体を補えるかということに対して、歩くというプログラムでは少ないと思い、分析不足だと思います。話を聞いて、歩くことがプログラムになるような商店街が良いと感じました。どこかへ行くのでは無く、活用することが暮らしになることが良いのかと感じました。

脇坂:彼は本当に相当歩いて、相当ヒヤリングをして、その中で事業としての可能性をつかんでいるはずなんですが。。建物が古くても、人の面白さ、人と人の関係の近さ、というのはあったはずでそれをもっと活かせたのでは?いろんなことを学んで分析してきているはずなのにそれが活かされていないというのは、残念。来年も頑張ってください。ではここで二回目のセッションを終わります。


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SESSION_15: 小川歩夢

中畑:それぞれの拠点、敷地はありますよね?それの大体の距離は?歩くことは難しい?

小川:敷地1つめから最後まで徒歩で歩こうとすると3.9kmです。

中畑:そんなもん?

小川:歩こうと思えば、可能な距離。

中畑:敷地2から3とかだったら歩こうと思えば5分ぐらい?

小川:そうですね。

中畑:点在させているのは、廃線のあとの路線の通りを作って、一種の繋がりを作ろうというのか?もしくはそこを大井の拠点にしたいのか?どちらを作ろうとしていますか?

小川:どちらかというか、両方です。

秋山(情報デザイン学科):すみません。素人です。瀬戸川は景色がいい。並木があるなど。あそこは隔たった感じがしますよね。駅周辺と旧市街の中で。隔たりのメリットもあると思うので、そこをどんな形でアピールしているのか?そこをどう生かしているか? 先程の質問で拠点を作ると繋がりを作る、2つの意味があるとおっしゃっていましたよね?その繋がりをつくる観点から見ると、瀬戸川で断絶感が生じないか?どうやってクリアするのか?なにかそのメリットを生かす観点がありましたら、教えてください。

小川:そうですね。断絶感…、

秋山(情報デザイン学科):活かすいい観点とかは?空間的に隔たった感じがしますので。実際に行って、あそこ全部歩くと分かりますけど。

中畑:実際に繋ぐっていうけど、こことここに施設あるでしょ。この具体的な繋がり感っていうのはあるのですか?

小川:元々、この場所が路線跡地を利用して、歩行者と自転車の専用道路という形で普段から使われている場所で、といった形で…

秋山(情報デザイン学科):あそこにいって急に視界が開けるので、町並みと異なった眺望が開けるっていうメリットですよね。このフッと明るくなるような、そういうのが出来てきたら、よりよくなるのではないかと。

金子:廃線に、歩行道路だったり、自転車専用道路だったり、全体的にそうなっているっての?

小川:一部分だけです。このあたりまで自転車専用道路になっていて、ここから自転車と自動車になっています。

金子:繋がりを意識しながらつくっていこうとしたら、駅舎にこだわるというか、建物自体はもってないよね?   

小川:もってないですね

金子:駅舎も必要かもしれないけど、それとは関係ない場所にそれぞれの場所を生かして、表現していって、廃線沿いに新しくしていく提案にしたら、そういう風な発展の仕方があるのかなって思いました。わざわざ駅舎の位置にこだわっている特別な理由があれば教えてください。

小川:「藤相鉄道」が出来たきっかけが、もともと大手という場所を中心に栄えていた地域が、藤枝駅ができたことにより都心が移動し、ここら辺が廃れていったという背景があるなかで、どうにかしてこの場所を盛り上げようという風に土地を造成していく計画が生まれて、地域をたて直す意味でつくられた駅舎、駅、鉄道になっていって、それがこのまちを作り直す形で、自分のやりたいコンセプトと、もともとあったコンセプトが一致するということで、ここの敷地を駅舎に選定しました。

金子:道空間も含めて考えていいなら、道の上にそのいう空間があってもいいのかなと。より広がっていきそう。

脇坂:建物は新築、それぞれ複数の箇所に点在している。こういう建物は必要なのかなと思います。一方で、ボキャブラリー的にバラバラになっているという印象がある。それぞれが点在しているのだけど、それを繋いでいく何かがあっても良い。

小川:はい。その1つが要素統一ということで、生活と食と情報と滞在という4つの要素をもっているソフトウェア的な話と、建物を考えていく上で、軽便鉄道の駅舎コードを解体することから始めていきました。軽便鉄道を解釈した結果、レベルでやっていること、行われるアクティビティなどがかわってくるのではないことで、まちレベル、発信レベル、コア部、3つの部分に分けて、それらを点在させていく形で展開させていきました。

脇坂:もっとシンプルに、プログラムとして、宿泊、食堂となにかパブリック的なスペース、そのバリエーションの共通性はあると思うけど、形態がバラバラに見える。形態の共通性、素材なのか、色彩なのか、なにか共通のコードがあるとどうだろうか。


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SESSION_16: 濱田幸汰

長尾:配置模型と詳細模型の距離が違うというか、全体像を教えてもらえますか?

濱田:この丸い建物が食堂です。この詳細につくってあるに他の研究室が繋がっています。

長尾:これが食堂棟?

濱田:これが研究棟でこれが食堂棟でこの食堂棟を代表として作ったという形です。

長尾:食堂棟の象徴的な感じは、いい感じだと思うのですが、こっちの「模型の都合によって間違った」距離感の方がすごく近くなっているのが、いいと思って、もったいない。

濱田:多分もうちょっと遠いのですが、もっと近い感じになってしまいました。

脇坂:不思議なのが、動線が外側にあって、それが特徴。入口がこっち側にある?どうやって入るの?

濱田:この通路が中2階に位置しているのですが、2階通路が吹き抜けになっていて、実際はそこから直接通路が入るわけではなくて、他の建物に一端入って、階段を通ってこの2階とか3階に接続するという形になっております。

脇坂:二階の真ん中の部屋に行くときはどうやって行くの?

濱田:こちらの建物から通路として入って階段を上って、ここに出て入口からに入っていく。

脇坂:逆に2階の廊下は通ることは無いってこと?

濱田:ここは吹き抜けになっています。

金子:いろいろな研究スペースがあって、他の研究室が何をやっているのか、なんとなく見える。それがこの大学の連携の仕方の新しさなのか、どういうところが新しさなのか?

濱田:実験室と研究室を近く配置したのが新しいところ。他の大学だと棟がいっぱいあって棟から棟へ移動するのが普通なのですが、それをなくすという点と、建物同士の中の活動がみえるような建物の形が大学として新しいと思います。

金子:研究の仕方として新しいの?

濱田:研究の仕方としてはあまり変わらないとは思います。

金子:この近くに配置しているとか、何をやっているか分かると言っている一方で、人が集まる場所が研究室とは全く別の場所にある。そことの距離感があって、繋がれそうなことと、逆に繋がれそうなところが断絶している。そういうところが合ってないというか、大学自体の繋がり方の考え方自体が分かりづらい。中畑:環境にいいということで、材料も考えがあるのですが、そもそも、住居部分と大学院大学を分けていて、20世紀モデルって感じがする。丘の上にあるのがサステイナブルな街ということなのだが脇坂先生の出身の東北大学は山の上ですよ。だからそもそも新しいモデルじゃないですよ。そもそもサステイナブルっていうの山の上に、こういうまちをつくるのはどうなのかって議論がはじまっちゃいそう。目指している方向、コンセプトはいい。ただ、それに対する一手一手がどうかなって感じがする。例えば、今だったら職住一体だったり、あるいは昔、デンマークでみたんだけど、工場とか住居棟が自転車の交換とかをしてくれる。自転車でバンバン走り抜ける。ああいうところかもある。もうちょっと視野を広くすれば、もっと違う提案になったのかなって思います。


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SESSION_17: 山内柊哉

彌田:市松模様というのは?

山内:広場と建物がこうある形です。

彌田:じゃあ、2階と3階は?

山内:2階と3階は、要素がそういう形となっている。自習室は建物の中にある。

彌田:とすると平面のダイアグラムはそこで途切れているような1階しか見えない。そうすると立体的につながっていない。

山内:そういう形になります。

彌田:知りすぎているだけに、逆にコメントしづらい。

金子:この場所に、図書館、コミニティセンター、広場が欲しいと。今あるものだと足りないと認識しているのであれば、なぜそう判断しているのか?

山内:まず、広場の要素としては、近年イベントなどの増加よって、歩行者量が増加している。その広場が浜松ですと「ソラモ」で行われるイベントの占有率が高くて、98%を超えている状態なので、これから歩行者を増やしていくと考えていると、広場を増やしていくのがありなのかと思います。図書館については、駅から一番近いのが中央図書館で、徒歩圏内から外れているので、まちなかに図書館があるべきとだと考えました。また、昭和56年開館で、老朽化も進んでいるので、図書館はまちなかにもってくるのはあるのかなと思います。市民コミニティセンターについては、やっぱり市民が中心となって、街づくりをしていくのが重要なので、この3つを複合させた施設を建物を作りました。

金子:いや、図書館も近いし、広場もイベントも休日だから人が多いとか、細かい考察があると、例えば、他の都市だと図書館がどれぐらいの本があってそこにはどれぐらいのエリアにどのぐらいの所蔵数があるのか?そういう、裏付けの考察はなかったのか?今の話を聞いて、ありそうな反面、決定打にかけると思います。

山内:調べ切れていませんでした。

佐々木:僕も機能的なところが気になった。実際にこれはなんで3階になったのか。別に1階でもよかったのではなかろうか、そういう面積割合だとかの細かい考えが伝えきれていなかった。一方で、商店街ということであれば、空き店舗というのも結構あると思うので、それをもう利活用して、都市的に拠点にしても良い。

長谷川:地域交流ということを掲げていて、これってどこでも抱えている問題で、いろいろな分析をすればするほど、こういう図書館、コミニティセンター、広場などがほしいという風な話になる。だから、実際に設計の中にあるものって、あると便利なものが入っているというのはわかるのだけど、そこで何ができると交流になるのか?何を入れたらどうなるとか、地域の何に重きを置いているのかを明確にすると、やっぱり関係性だとか広場の大きさだとかがもっとでてくるのではないか。

山内:青色が図書館で、オレンジ色が市民開放や市民交流という要素なので、それを市松に配置することで、図書館に来た人がほかの施設に引き込まれていくということを考えて設計しました。


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SESSION_18: 金子大海

中畑:基本的な情報で、移住者は何世帯ぐらい?

金子(大):農業の継承者住居が3世帯、マルチワーカー向けのものが6つ、漁業の人が3世帯、世帯で12世帯です。

中畑:志願者の人たちが暮らすゾーンで中心の渦になっている建物は、いろんな食材なり、あるいは農業で作ったモノの食材が集まって、それを食堂という形として象徴的にしている。そういう理解でいい?

金子(大):そうです。中心の建物が搬入のロータリーと建築が一体化しており、そのまま、ここに食材を置くなどして、相互的な関係をもちながら。手前の方では、野菜など棚が並べられていて市場のように人々が集うような場所です。そのまま、段ボールから搬入されたり、置いていったり、取っていったりしている。その奥には台所があり、台所で調理し、中で食事をするといったストーリーになっています。

中畑:湖西の農業的なポテンシャル、漁業的なポテンシャル、そういうものを産業と言っている?

金子(大):漁業と農業と移住者をそこに取り込んで、一緒に巻き込んでいく。

中畑:移住者?そういうものをランドマーク的な施設で、こういうところに来てもらって農業をして漁業をして広がっていく。そういう感じですか?

金子(大):そうですね。この象徴的な形がインパクトのあるところでもあると思うので、そういう意味合いも含め、シンプルに移住したいと思っている方々にも受け入れられるシステムになっています。

中畑:ちなみに、場所が分からないのですが、この敷地と接している水辺は浜名湖?

金子(大)すみません。ここは浜名湖になります。この地図で言うと浜名湖の近くの鷲津駅の近くですけど、ちょっと北の方でちょっと離れたところに敷地があります。

中畑:これ渡辺さんが以前建てたとこに近いよね?

金子(大):そうです。すぐ近くです。

渡辺:すごい面白い。なんか形の要素も異業種というか異分野を巻き込んでいく形が面白いなと思った。浜名湖のスケールで漁民の人たち、漁業の人たちと、この農業の人たちのフィールドのバランスが全然とれてないように感じて、中畑先生がおっしゃっていたみたいにここで農業をやってみたら、どんどん開いている土地に広がっていくなら分かるのだけど、この住居、農業をやる人の住居の面積に対して農地が小さいから、ちょっとここじゃ、生活が成り立たない、という風に感じて。この計画のスケールが気になったところです。その辺はどうですか?

金子(大):はい。ここに移住して、ここに完全に住むというストーリーよりは、どちらかというと体験というものを、移住体験施設という形で、日数は決めてないのですが、そういう気軽さ一般にここに観光客にも開いていこうと思っています。

渡辺:もしそうだとしたら、湖西のちょっと荒れた土地の農地だとか、農業を辞めたサラリーマンの人だとか、その周辺の今の農業の状況とかがあったら、この形の説得力が増すなって思いました。もう少しばぁーって広がっていくようなイメージをもっていたら。

金子(大):ありがとうございます。

秋山(情報デザイン学科):時代の流れとしては生産者と消費者の区別は曖昧になっていく可能性がありますから、ダイアグラムの図で、象徴的な建物で周りに発信していくのはいいのですが、同時に諸費から生産に還元にして新しい生産を仕組みというものをあの中にとれた方がいいのかなと。そうすると、ここの体験した人も新しい可能性を見つけてより魅力を感じるのかなって思いました。ただ生産したものを消費するよりは、逆に消費を通して新しい生産を提案していく。そういう住宅のようなものに魅力を感じてもらうと、より移住を促進してもらえるのかなって思いました。

金子(大):新しい要素をさらに加えていく。

秋山(情報デザイン学科):そうそう、将来の社会の動きとか、価値をどうやって生み出すかが重要かと。私の本当の専門は労働研究ですが。

金子(大):ありがとうございます。

長尾:浜名湖の漁業の状況について知った方がいいのかなという風に思うのですが。ここだけで生産できてはいないので、いくつかの漁業と協力的にやっている。浜名湖全体でいくつかの点を作っていかないと。やっぱり、ここだけの話にはならないような気がする。私的には非常に図式的なものがそのまま建築になったと、そのまま形になってしまったと思う。それがすごく気になる。あの持ってきました、丸くなりました、こっちから来ました。だからある意味、図だよね。ダイアグラムだよね。だからそのまま建築したっていうのが。だからダイアグラムのものがそのまま高さをもったって感じがする。ダイアグラムはダイアグラムなので、そうじゃなくて、もう一歩形を変換しないと単なる図ですって感じになっちゃうので、そういうところにもったいなさを感じる。すごく力作だと思うのに。なんでこのような渦にしてみようと思ったのですか?

金子(大):渦にしたというのは、結構突飛な発想ではあったのですが、最初からそれはあるのですが、そこからどういう風な見え方あるとかは、穴から除いていただけると分かると思うのですが、美しい見え方というか、中心に集めながらも息苦しさがないのとかはそういうことを考えていたので。なので、もう少し漁業などの外側に対してが、薄かったという指摘があったので、それはおっしゃる通りだと思います。そこも取り入れるべきだとおもいました。

佐藤:丹下さんの代々木の体育館を思い出しますけどね。構造的にも一工夫考えてると思う。構造的にはどうなっているのか?そこら辺を説明してもらえるかな。

金子(大):正直、構造のことが分からなかったので、こういう風な建物ができました、と説明して構造の先生と環境の先生と施工の先生と、4人の先生にお話を聞いていったという風なものになります。そこまで詳しくないです。魅力的、形状的な、意匠的なことばかり考えていました。

彌田:長尾先生とかぶるのですが、この建物がダイアグラムに見えるっていうのは、実際に農業とか漁業って生業なので、一日の流れがある。作業の流れがある。それがこの渦の中にのっているのかなっていうのがあまりみえてこない。そういう生業の流れと渦の流れを組み合わせると、すごく効率的に行程が組めるみたいな、そういう視点から見るとダイアグラムと建築が変わってくるのかなって思いました。

金子(大):ありがとうございます。

金子:僕も似たようなことなのですが、すごい面白なって思うのは、さっき先生方が言ってくれたように、漁業だとそれができている。それが渦になっていることで隣同士がちょっと違うものがまざりあってきますよ。そういうのがよりでてくると渦の意味がある。農業と漁業が隣り合って、近接してそこでなにか新しいことが行われるのか、そこでなにか新しい変化が起きてくる。そういうことで渦の意味は余計出来てくると思う。割とそれぞれがただ渦になっただけって感じがする。

金子(大):産業構造っていう一連の流れ、多分シンプルな流れだとは思うのですが、そこをシンプルに流した上でそこに挟まれた住宅の中に、生活が、個人の交流などの繋がりが色々できてくればなって意識して、住宅などの設計も行いました。

金子:そうすると、住宅なので個人ものとしてその中で起こっているのでよく分からない。他の人とか。むしろそういうところの方が面白くなってくるなって感じました。だからそこに人が住むのはすごく面白いと思います。

佐々木:もっと逆にミクロ的な視点も必要なのかなって思います。1つはせっかく形態で中心が一番高いところにありながら、低いところにもあってかつスリットというかスクレープしていくのですよね?それは多分、環境的な配慮だとか視線的な抜け感だとか、そういう風なこともあって考えられている。そこに何か、1つ絵なりなんなりのコンセプトを加えていくが必要なんじゃないかと思いまして。もう一点、先程お話しでもありまして、混じり合うところが少ないって話もありましたが、実はこの渦になっている路地のところが、かなり交流的な要素を含んでいるじゃなかろうかと思うのですよね。だからそこになにがしかの表層、住処との間にある中間領域的なものをなにがしか提案として加えると良いのではないかと思います。そのあたりなにか詳しく説明できるところがあればお願いします。

金子(大):部分的に図式的だったり、ダイアグラム的というのは、シンプル過ぎるのではないかとそんなに簡単にまとまるものなのかというご指摘は自分ももっていたのですけど、それがあるからこそ、周りがあるからこそ、住居の中に溶け込んで来ている、そのため、住居の中を計画しました。ただ、周辺、さらにその隙間にも居場所ができてきている。渦だからこそ余る空間が渦だからこその空間があるというご指摘はちょっと簡単に済ませてしまったのかなと思います。ありがとうございます。

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長谷川:現地で模型が見られないのが残念です。感想としては、すごくおもしろいテーマだと思うのですが、最後がちょっと形に行き過ぎているなって思いました。渦っていうのは、渦の形自体が面白いのですが、渦の形と渦じゃない形との狭間に生まれるところかなと思って、そういうところ1つの形じゃない多様性があるのかなと思う。1つの形との考え方で作ちゃって、きれいなものっていうのは、1つのものしかできない。そうじゃなくて、住宅のあり方とか、移住者とかそうじゃない人との住まわせ方だとかそういうところも含めて、これを観ていけると、もうちょっと精度が上がるのかなと思います。混ぜたりとか関係性を持たせたりクロスさせていくとか、そういうところをやれると安定性があるのかなと思います。


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SESSION_19: 八田真代

彌田:住宅地に建てる意味はなんですか?

八田:事例は住宅地なのですけど、分散されていて割と広大な敷地で、一戸一戸が離れている形です。高齢者と里親家庭が見守り合う同じ敷地内というのをこの敷地にもってきたのですけど、ここでは共有のスペースをもつことで見守り合いというのをテーマにしました。

彌田:テーマとしてすごく面白い、興味深い。一方で、すごく難しい。親がいない人が集まる場所だよって、逆に周りから見られてしまうのではないかと。もっと普通に暮らしたいのではないか。住宅団地にするような意味ってなにかあるのか? 

八田:あくまで、いままでは里親家庭というのは一戸の住居で完結させていたのを周りの支援がほしかったりとか、逆に周りの助けを求められない人たちを集めることによって、他にも周囲に里親の家庭がいるっていう意識から、回りのことを気にしないで、中で助け合おうっていうのを意識してこういう風にしました。

彌田:この中なら問題を共有できると?

八田:そうですね。

金子:考え方はわかるのですが、それをそのまま形にしていて。これをぱっとみたときに、グループホームと同じような、一種の閉鎖された、閉じ込められているような印象を受けました。協力しあって、っていうのはすごく分かるし、色々なところが関連してくるのはすごく面白い。それがどう建つべきか?もしかしたらもう少し違う答えがあったのかもしれない。団地のあり方と中の作り方を変えちゃって、っていうのは閉鎖されたコミニティの団地みたいな感じで、そこが気になった。

秋山(情報デザイン学科):社会学的なのですが、この地域の人たちは中間集団という分類になっている。つまりプライベートな領域と公の領域を社会全体の領域を媒介するところで、そのとき調整役というか、プライベートの規範とか価値大系とパブリックの規範や価値体系を調整できる集団を、居住とか活動とかの形態になればそれをうまく促進する形になれば、うまくやっていけるのではないか。だからその中間集団をうまく生かして、中でサブカルチャーをうまく作り上げることによって、それを閉鎖的にじゃなくて社会に繋がる、プライベートにも繋がっていくようにすれば、うまくいくのではないか。

佐々木:プログラムで何世帯が入っていて、世帯構成としてはどういった考え方で、高齢者がどれぐらいいて、単身者がどれぐらいいるのか。そういうのは決められているのですか?

八田:スライドに住宅プランがあるのですが、住戸数は全部で28戸、高齢者が15戸、里親家庭が13戸となっています。共有の正方形施設が13個となっています。

佐々木:爺さんたちは10年たったら後期高齢者、もしくはいなくなっちゃうかもしれないですけど、それはやはり新しい高齢者を住まわせるということになるのかな?

八田:そうです。

佐々木:1つのプログラムがあって、十年たって、その人たちが年をとっていって、また新しく更新されて、新しい若いこたちが入っていくというプログラムが作れるような、まちづくりをプロタイプとして作っていったらおもしろい。1つの街の中で、作られるとおもしろいって思いましたけど、そうではないですね。

渡辺:根本的にみんな感じているのは、ちゃんと頑張ってみんなで見守っていこうっていう仕組みを考えてはいるとは思うのですが、ちょっと愛情を感じづらい。その1つは、一戸一戸の計画の住居を、どういう風に住みやすいのかとか、楽しく暮らせる家なのかが結構あっさり計画されていて、1つ1つの住戸の計画が見えてこないので、パズルのように人を配置、家族を配置しているように見えてしまう。だからもしかしたら同じような計画でも一戸一戸の住宅の計画をこんなに居心地がよくて暖かい家と隣同士の関係が育まれているのをもっと解像度高く、一戸の住宅を設計する必要がある。

中畑:これって問題提起をはらんでいて、空間をどれくらいの大きさにするかが肝っていうか。これって一戸だての住宅ぐらいだよね?だけれど少し小さいかな、平屋だから。一方、分棟みたいなのですごくエポックメイキングな西澤立衛さんの『森山邸』って住宅の機能を一棟だけでは満たしてない。が故に、あの分棟にものすごいパワーがあった。だから結局混じりあうっていっているのが、一家族一棟みたいなのになっていて、そのくせ周りよりも密度高く建っているから、ちょっとゲットーっぽく見えちゃうのがおしい。設定次第では、かなりおもしろいものをはらんでいるプログラムで関心しています。建築的にはちょっとだけど、プログラム的には抜群。

森下:ここ場所はどこ?

八田:静岡市葵区です。

森下:駅からは近かった?

八田:駅からはそんな。

森下:徒歩圏内みたいな作り方が、場所的にあうのかなって感じた。

田井:ものすごい議論が深まりそうなテーマ設定ではありますが、時間がおしていますので、ここで終わりにします。


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SESSION_20: 佐野真子

中畑:切実な、自分の生活圏に近い場所ということですね。なかなか、これといって処方箋がパッとあるようなものでもないし、しかし、すごく丁寧に設計してある。住んでいる場所が近いからという事もあるけど、すごく細かくこの場所を考えていて、よくできているなと思う反面、卒業設計とは、例えば、もっと伸び伸びできる場所でもあり、そういうテーマだったはずなのに、それでもこういうものを引き受けるというのはすごいなと素直に思います。

彌田:見ていて佐野さんがこの場所が好きだということは伝わってきて、それはすごく良いことです。ここを路地と捉えていた所も僕としては好感を持ったというか、なるほどと思ったのですが、路地の空間構成みたいな、路地を構成しているものは何かとか、ここの通りは好きだけど、アーケードというか雪国で言うと段切りみたいにも見えるが、こういうものってこの場所の良さになっていないか、プレゼンボードを見ていて色々思いました。


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SESSION_21: 袴田瞬

中畑:この場所の今を、この建築で解けているなと思いました。

脇坂:アプローチしながら、色々なレベルの屋根があって、それぞれに幅が違っていて、内部があったり外部があったりして、こちらに行くとまた逆に下がっていたりと、空間の展開がすごくうまいなと思って感心しました。

田井:とてもよくできているなと思います。建築そのものの完成度というか、この区切った中でみるとすごく良い具合に設置しているという風に見えて、建築そのものの空間性も良いなと思ってみているのですが、一方、天浜線の卒論を書いていたというのもあって、天浜線のこのラインに対して向いているという、その敷地というものの良さで作られているという感じもする。

長谷川:マイレール意思という言葉が一番やりたかったことだと思うので、それだったら車好きの人だったら自分の家の中にガレージを作って、それを見ていたいみたいな家の作り方をしますよね。始発駅だと電車が入ってきたりするところと建物が一体化するけど、途中駅では普通はしないのだけれど、電車を取り囲むような形で建物を作れると、たまにしか来ない電車がくると拍手が起こるくらいの場所だったらそういうあり方もあるのではないかと思いました。


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SESSION_22: 高村菜々

中畑:場所の選び方とか建物の構えがとても良い。

八木:敷地の選び方とかコンセプトとかすごく面白いなと思ったのですが、ここに一本だけ巨大なものが必要なのかが疑問で、今は建物とそれにつながる橋に見えてしまっていて橋に建物がついたくらいでよかったのではないか。それと三角なので外の川が感じられないように見えてしまうので、真ん中の丸い穴と外周部がテラスで所々抜けているとか、その辺のバランスが巨大なショッピングセンターみたいに見えます。着眼点は惜しい。

長谷川:詰め込みすぎで、なぜこのようなことをやろうとしたときに自然が一番の財産ということと、ここに観光に来る人や地元の人もそうだけど、高村さんが作ったこの場所がいかに良いものかをわかるようになってほしい。そういうのは、図書室であったりギャラリーであったり、そういうところを見に来るのではなくて、やっぱりこの場所が良いなと感じられることを、視点を変えたり歩いてくる道中でわかることが目的で、中身は最低限にして視線が外側に向かうような、真ん中の穴は面白いなとは思いました。

佐々木:この三角形の丁度川のところに建物を作ったという着眼点が一番面白いところだと思う。なぜかというと、周辺の風景を写真とかで載せていますが、伊豆長岡の山並みや川の風景だとかちょうど丘陵地で上がる高さがわかる。建物の断面を見ると川底も触れ合うことができるし、堤防のギリギリのところも見えるし、かつ山の景色も見えるし、この四段構成がすごく魅力的だと思うので、そこをもっとフィーチャーして話を持っていけば、長谷川先生のおっしゃったところにも近づくであろうと思います。僕は建築しなくて、もっと増やしてもよいのではないかなと思いました。

金子:減らすというのもあると思うのですが、逆の発想で行くと、ここに橋がかかっていてどうせここまでやるなら、道路の端とかそういうインフラを含めながら一緒に計画していく方法もあったのではないか。そうすることによって自然の環境を感じられると同時にインフラのあり方やつながり方を解いていく方法もあって、そこまで行くとすごいところまでいけるのではないか。

佐藤:とても良い案だと思っていて好きですが、少し考えたのは、これは建物、橋が3つ、たぶん3つの橋が橋らしくみえて建物らしくみえて、全部が橋である情景になったらどうなのかなと思いました。


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