藤井厚⼆/聴⽵居
森下空々
聴竹居とは藤井が生涯追い求めた「日本の住宅」の理想形の全てが集約され、実現されている、5回目の自邸である。藤井は日本の気候風土と日本人の感性に適合する近代的な住宅とは何かをとことん追求した。日本各地の気候を調べ、さらに外国の気候と比較して「室内環境を快適に保つには、不快となる夏場の対策が必要だ」と改めて説いた。その実践である聴竹居では、「一屋一室」にすることにより通風を確保することを行った。
教員講評
明快な線と、柔らかな彩色による外観パース、題目と設計者をわかりやすく表記したタイポグラフィ、日本における環境配慮型住宅の嚆矢とされる特徴を伝える断面ダイアグラムと気流の流れ、丁寧に描かれた平面図・断面図など、一つ一つのコンテンツの完成度が高い。一方、模型では、「一屋一室」の特徴を表す複数に分節された屋根の妻面に破風が無く、不完全だったのが悔やまれる(脇坂)。