日常をめくる
伊藤菜美
今回私は、地下にある空間を設計した。1番の特徴は地面がめくれているように見える屋根だ。日常を「めくる」という行為を入れることで、そこが日常とは少し違う空間のように思える。この空間は都会にあり、日々の仕事により疲れている人などの日常からの逃げ道になったり、心の許せる友人と現実のしがらみなどに一切とらわれず、ただ純粋に一緒にいることを楽しんだりできる空間になれば良いと計画した。
教員講評
日々暮らしている街で、地面がめくられた場所がある。中を覗くと空洞で、地下へ階段が続いている。降りた先は局面の壁、体を沿わせて寝転がる。斜め上にはめくられた地面と空、光も差し込んでくる。日常は遠くに感じる。疲れたときまた来よう。そう思える空間だった。《休憩所》を日常からの《エスケープ空間》と一歩踏み込んで定義し、「めくる」「掘る」という人間の行為によりその空間を獲得していくという物語が秀逸で、他のどの作品よりも“心ふるえる”空間を共有することができた。(脇坂)