2022.09.27 ストファニ2期 新固定屋台 完成
第二期ストリートファニチャー
「木漏れ木の小町」
先月27日より掛川市連雀西交差点角地に新しいストリートファニチャーが完成致しました!
向かいの屋根付きベンチ、三の丸のベンチに引き続き、田井研究室としましては3つ目のストリートファニチャーとなります。今年2月頃にこの2つのベンチが完成し、それと同時に2台の可動式の屋台が製作されましたが、その需要を継承しつつ今回の流れとなります。
新屋台も田井研究室のメンバーで10案ほど作成し、今回の案に決定しましたので、こちらで少し紹介させて頂きます。
屋台のコンセプトは、 “まちの皆が集まる「木」をつくる”です。
人々が集う「木」のような屋台の提案となっており、一本の幹から様々な高さの葉を伸ばし、風にあたり、光を浴びて、それぞれの居場所を展開させていきます。出店するお店やお客さんにとって交流の場としての楽しさや、風通しのよい変化のある場としたいという思いがありました。
用途が「屋台」という縛りがある上で、お店とお客さんの交流の場としての風景を想像し、また、使われていない時に横を通ったり向かいの道路から見えた時など、何かシンボリックな風景を作りたいと思い提案させて頂きました。屋根には勾配をつけつつ、様々な高さや大きさの板材を重ね合わせて構成。木板の高さのスケールを楽しんだり、木漏れ日のような射しこむ光をつくり、光の動きを可視化させたり、時間を紡ぐ場所になるよう計画しています。
また全体で見ると、柱と梁をコの字状に繋げた垂直方向を支える部材と、屋根・カウンター・ベンチなど水平方向を支える部材の、大きく分けて2つのシンプルな構成で成り立っています。そのため、水平方向に伸びる合板材が様々な高さで浮いているように見えると思います。
ぜひみなさんに来て、体感していただきたいです!
ここからは組立風景や設置の様子も一緒に中のつくりについてご紹介します。
屋根の勾配のかけ方や、薄い屋根材を固定する方法、組立についてはかけがわランド・バンクさんとじっくり相談させていただきました。
屋根裏は点と面で固定するようになっており、柱と屋根が当たる部分で、柱を左右から挟み込むようにして材を入れてボルトで固定しました。柱の上部は横に梁を通して必ず反対側の柱と繋がるように規則的に配置。屋根が一部浮いてしまう所は、梁で上から吊るようにして材を直接固定しています。2枚で挟むと安定はしますが、くどくなってしまうかなとかなり迷いましたが、完成した実物は下から見てもカッコイイ!
木板を貫通させてから梁を通さないといけない部分や、カウンターの部材で屋根や梁よりも先に入れなければならない部分があったりと、組み立ての順番がかなり複雑になり大工さんには大変お手数をおかけしました。
柱を下で固めている、ベンチ材(高さ400㎜) ・配膳部分(高さ700㎜) ・カウンター材(高さ1000㎜) ・棚材(高さ1300㎜)はベンチ面から高さが300㎜づつ上がっています。このように水平方向に対しても規則性を設けています。
最後の一枚はその場で決めて取り付けていただきました。どの高さにしようか検討中…
検討でボロボロになった10分の1模型を片手にあれやこれやと迷いました。
南側から見るとこんな感じ!
材としては木板のパレットから屋根まで、Jbase(掛川学生寮)の床・壁にも使われている、構造用合板を使用しています。まだ塗装も何もしていない、まっさらな状態なのでこれからアレンジしていけたらいいなと思います。
なお、こちらの屋台ですが、かけがわランド・バンクさん経由で出店が可能ですので、ぜひともご活用ください。実際に田井研究室でも出店を計画しています。お楽しみに。
ものが出来上がるとやはり、ファニチャー全体を通してこれからの使われ方や在り方について再度考えていく必要があると感じます。また、利用者の皆さんにとっては改めてこの掛川の街を見直すきっかけになりますように。
そして改めて、学生のうちから本当に貴重な経験をさせていただいていると思います。実現させるために様々な課題が出てきますが、それを可能にするための思考の大切さや、課題の模型とは違う1分の1サイズで出来上がることの難しさを少し経験することが出来ました。また、同時にこの場所にこんなものが出来たらいいなと考えていたものが実際に出来るというのは純粋に嬉しく、楽しかったです。ありがとうございました。
連雀西交差点のこの角地で、人々が大きな木に集まるように、少し休憩をしたり、誰かと話をしたり、お店を開いたり、雨宿りをしたり、活動の一幕にこの屋台が入り込んでくれたらと思います。
様々な場面で使っていただけたら幸いです。
掛川にお越しの際はぜひお立ち寄りください!
田井幹夫研究室 M1田中葵