2026年3月29日 水上ビル民泊コンペ最終審査会
こんにちは、脇坂研究室M2伊藤勢来です。
2026年3月29日(日)に豊橋市の水上ビルを舞台にした民泊実施設計アイデアコンペの最終審査会が行われました。
■ コンペ概要と参加のきっかけ
このコンペは、farmersのオーナー木村さんとJOBLink Studioが主催し、水上ビルに新しく民泊を設計を前提としたプロジェクトでした。
最終審査会には、山岸 綾先生 (中部大学 建築学科 准教授)・◇黒野 有一郎 (大豊商店街代表理事、建築クロノ)・木村 和明 (プロジェクトオーナー)の3名が参加し、
単なるアイデアではなく「実現性」も問われる場となっていました。
参加条件は、愛知県内で建築を学ぶ学生であることです。
チームに1人いればよいという条件だったため、私はアルバイト先で出会った大同大学の疋田君(当時学部2年生)とチームを組んで挑戦しました。
彼にとっては初めてのコンペだったため、
設計の進め方や考え方を共有しながら、2人で試行錯誤を重ねていきました。
■ 現地に立って初めて見えた「水上ビル」
3階 和室
12月から1月にかけて、何度も現地に足を運びました。
実測を行い、図面を起こし、模型を作成していきました。
そのプロセスの中で強く感じたのは、
自分が地元にいながら、水上ビルのことをほとんど知らなかったという事実です。
水上ビルは「残り数十年の命」とも言われる建築です。
だからこそ、ただ保存するだけでも、ただ新しくするだけでも不十分だと感じました。
■ 提案|「淡層 ―水上ビルに、もう一層―」
私たちの提案は、民泊という機能を一つの建物に閉じ込めないことでした。
コンセプトは、
「ぶらっと寄り、また戻ってきたくなる」です。
宿泊という行為をきっかけに、
人が水上ビルの中を回遊し、まち全体に関わっていく構成を目指しました。
つまり、
水上ビル全体をひとつの宿として捉えるという考え方です。
■ 空間の考え方|淡くつなぐ設計
提案では、強い形をつくるのではなく、
空間同士の関係を「淡く」つなぐことを重視しました。
- 布や障子によって境界をぼかす
- 記憶が蓄積される黒板の設置
- 貸し棚やキッチンによる小さな商いの場
- 屋上をまちとつながる居場所として再編集
こうした要素によって、
訪れる人・地域の人・建物の記憶が重なっていく場をつくろうとしました。
■ 「体験できるプレゼン」への挑戦
最終審査では、模型やパネルに加えて、
実際に素材を使ったモックアップも制作しました。
- 豊橋の砂利や土を使った塗り壁
- 地元の野菜を使った草木染め
- 貸し棚の試作
視覚だけでなく、触覚や質感を通して伝えることで、
空間のリアリティを高めることを意識しました。
■ 結果と講評
結果は優秀賞(2位)でした。
最優秀賞は「滞在のレシピ」という提案で、
完成度だけでなく「今後の伸びしろ」が評価されていました。
私たちの案は、素材の提案や水上ビル全体にむけたプログラム、ロゴの提案などは他チームとは違い、魅力的なものだったと講評を頂きました。

審査会の後は、コンペ参加者や審査員の方々と懇親会に参加しました。
審査の場では聞けなかった意図や評価の背景、
それぞれの提案に対する考え方などを直接伺うことができ、
非常に貴重な時間となりました。
同じテーマに向き合った参加者同士で振り返ることで、
自分たちの提案を客観的に見直すきっかけにもなりました。
今回の経験で最も大きかったのは、
人とのつながりでした。
オーナーや水上ビルに関わる人たちと出会い、
この場所が持つ可能性を実感することができました。
そして何より、
「地元でありながら知らなかった場所」と向き合えたことが大きな収穫でした。
豊橋駅前はこれから大きく再開発されていきます。
その中で、水上ビルもまた重要な存在になっていくはずです。
今回のプロジェクトをきっかけに、
今後も関わる機会があると伺っています。
一人の豊橋市民として、
そして建築を学ぶ立場として、
この場所をどう面白くしていけるかを考え続けていきたいです。


















