2024.02.01

ピーエス IDIC@岩手・八幡平

30JAN2024 彦根アンドレア氏設計のピーエス IDIC@岩手・八幡平に行ってきました。

IDIC(イディック)は、工場に併設された情報センター、隣接してゲストハウスが併設された、原生林の中に建つ建築群です。

盛岡駅で新幹線のこまちとはやぶさのドッキングを見届け、レンタカーで八幡平へ。

設計者としてなぜアンドレア氏が選定されたのかを伺うと、帰国後ピーエス社長となった平山氏が留学先のシュツットガルト大学で指導を受けたハインツ・バッハ先生に紹介を請い、アンドレア氏が主席だった、という経緯があるとのことでした。

空気調和分野において「低温式暖房」を推進したバッハ氏のことをもっと勉強しなければ。

当時、松尾村では工業団地を作ろうとしていたところ、土地を一帯で購入したいというピーエス社長からの申し出を受けて、村長、議会の説得を経て、出来るだけ木を切らないような配置計画を立てると共に、残土を場内で処分してランドスケープデザインを行ったとのこと。

建物はシンプルなRCの直方体に、独特な色合いの青で塗られたファサードのサッシ、鮮やかな黄色の鉄骨フレームで支えられた庇といったように、雪原に映える色彩計画。

なぜ独特な青を選択したのかアンドレアさんに聞いたところ、「ぐんじょう!」と即答されたとのこと。ということで、日本の印象から群青色が選択されたようです。

内部は、RC打ち放しの柱梁のフレームのもと、外側フレーム沿いに廊下空間兼打合せ・カフェスペースが広がり、外壁沿いに植えられたヤマラナシが木漏れ日空間をつくっていました。

床には植栽用の開口が切られ、しかもナント、スラブが無く、地中に達しているとのこと。

壁にはブロック積みがRCフレームとゾロで納められ、緻密かつシンプルなディテール、素朴な素材に感銘を受けました。

2階には村上研、伊加賀研、シュツットガルト大学などの銘板が掲出され、ピーエスとの交流を物語っていました。ご案内下さった渡辺さんによると、私が学部時代に環境の授業で習った東北大の吉野先生とも交流があるとのことでした。

原生林の中に点在するゲストハウスは片流れ屋根、黒い下見板張り、2階建ての構成で、斜面地に佇んでいました。

久しぶりに彦根アンドレア氏の作品集をめくって、環境を軸として一貫したデザイン手法を展開する氏の思想を再確認しました。