建築設計B1 エスキス様子
こんにちは、脇坂研究室M2の伊藤勢来です。
今年度、建築設計B1のTAを務めることになりました。
今回は、中間発表前までの授業の様子をお伝えします。
課題について|「水辺の建築」
第1課題のテーマは「水辺の建築」です。
敷地は、静岡県浜松市浜名区三ヶ日町・元瀬戸港周辺。奥浜名湖の北側に位置し、かつては舟運の要所として栄えたこの場所に、道の駅を設計するという課題です。
敷地は道路を挟んだ2カ所(湖側・山側)に分かれており、延床面積は1,500㎡程度。
休憩・情報発信・地域連携・駐車の各機能を備えつつ、この場所ならではの建築を提案することが求められています。
スケジュールとしては、4月14日の課題説明からはじまり、敷地調査・事例調査を経て、エスキスを重ね、5月19日に中間発表が行われます。
TAとして|エスキスでの関わり方
授業のエスキスでは、常勤・非常勤の先生と学生が1対1でエスキスを行います。TAである私は、順番を待っている他の学生の案を一緒に見ながら、気づいたことを伝えたり、一緒に考えたりしています。
それぞれの学生が敷地調査・事例調査をもとに、案を持ち寄ってきました。
以下に、いくつかの案の様子をご紹介します。
エスキスの様子
戸塚さん
かつて遊覧船が走り、船着き場もあったという浜名湖の記憶をテーマに、船の形態を取り入れた案を持ってきてくれました。歴史への着眼点はとても魅力的でした。一方で、船の形をそのまま建築に転用するのではなく、「浜名湖での活動を再び取り戻す」というコンセプトをもう少し深めていくと、案としての可能性がさらに広がるとアドバイスをしました。
渥美くん
トレーシングペーパーにぎっしりとスタディが描かれた、手をよく動かしている様子が伝わる案でした。山から湖へ、公園から敷地へという流れを建築の形態と動線で表現し、ランドスケープへのこだわりも感じられました。コンセプトは「混和」。ただ、矩形ボリュームと有機的な東屋が別々に配置されているように見え、「混ざり合う」というより「並置」に近い印象でした。用途・形態・動線がいつの間にか溶け合い、「気づいたら建築の中にいた」「気づいたら外にいた」というような体験が生まれると、コンセプトとより一致した案になるのではと伝えました。
山口くん
駐車場から道路をまたぎ、敷地へと伸びていく1本の動線体——石上純也の水の美術館を彷彿とさせるような形態で、柱の操作によって人の居場所・視線・感じ方をコントロールしたいという強い思いが伝わってきました。素材や時間の変化への意識も高く、建築への姿勢がしっかりと感じられました。一方、ゾーニングや用途の配置はまだこれからの様子。柱と動線体がそれぞれ独立した意味を持っているように見えたため、ランドスケープを活かしながら、柱で建築形態をつくり、機能を配置していく方向性へとアドバイスをしました。
鈴木さん
ボリュームを山のように積み上げながら形態を模索している案でした。計画面の考えは進んでいる印象でしたが、形態の操作はまだ定まっていない様子。滞在性を重視していて、静かな場所とにぎやかな場所を分けたいという思いも聞かせてもらいました。ただ、分けることで敷地の景色や感じ方も分断されてしまう可能性があります。滞在の「スポット」を立体的に散りばめ、断面的な動線の操作によって、空間に奥行きと変化を生み出す方向を提案しました。
全体を通して
今回のエスキスでは、形態から入って試行錯誤している学生がいる一方、敷地の特性から少し離れてしまっている案も見受けられました。
やりたいことが湧き出てきたら、まずそれをスケッチや言葉として残しておいてほしいです。アルバイトでハンバーガーをつくりながら、ふとアイデアをメモしていた学部時代のことを思い出しました。第一印象は、後になって大切な手がかりになります。
そして、「誰のために、何をつくるのか」「この場所でしかできないことは何か」という問いを、焦らず丁寧に自分の中で育てていってほしいと思います
中間発表は5月19日。敷地調査・事例調査・エスキスを重ねてきた成果がどのようなプレゼンテーションと案に結実するか、昨年よりもさらにレベルアップした提案が揃うことをTAとしてとても楽しみにしています。それぞれの学生が、この浜名湖という場所と真剣に向き合い、自分だけの建築を見つけていく過程を、これからも一緒に歩んでいきたいと思います。



