2025.08.19

2025.8.15 論文の合間に弾丸長野

みなさんこんにちは。大学院2年の稲葉です。
夏休みとはいえ、論文に追われる毎日。作業に追われつつ、「これが学生最後の夏休みか…」という思いがふと頭をよぎり、同期のメンバーで「今行かなきゃ行けない!」と勢いだけで長野に弾丸旅行してきました。

霧ケ峰高原での避暑

 最初に訪れたのは霧ケ峰高原。静岡ではなかなか味わえない雄大な高原の景色が広がっていて、同じ夏でも「ここは本当に日本か?」と思うくらい涼しく、快適な時間を過ごせました。
 朝食は「ころぼっくるひゅって」という小さな山小屋で。標高1925mの絶景を眺めながら、名物のボルシチをいただくという、非日常感たっぷりの贅沢なひとときでした。素朴ながら温かい味わいが、旅の始まりを心地よく演出してくれます。大草原の中山小屋自体は見ると小さく可愛らしい佇まいですが、よく見ると。上下水道は通っていないようで、電気は来てそう…という、建築学生的にはインフラと山小屋生活の関係性に妄想が膨らむ空間でした。こういう“自然と共生する建築”を前にすると、頭の中が少しだけ修士論文から解放されます。

善光寺門前のまち歩き

 次に訪れたのは善光寺。観光地として有名ですが、実は全国的に見てもエリアリノベーションが進んでいる好例として注目されているエリアです。門前町の通りを歩くと、歴史ある建物を活かしつつ、カフェや雑貨店、ギャラリーなどへとリノベーションされている様子が随所に見られました。単なる観光地化ではなく、古い建物の価値を守りながら新しい機能を重ね合わせることで、地域の暮らしと観光が共存しているのが特徴的です。僕自身の修士論文のテーマである「リノベーションまちづくり」の視点から見ても、善光寺門前は“観光客に開かれつつ、地域住民の生活に根差している”という、公共性と商業性のバランスが取れた貴重な事例だと感じました。研究で扱っている全国の事例と比べても、善光寺はまさにモデル的存在といえるでしょう。研究目線で街を歩くと、観光も“フィールドワーク”に早変わりです。

長野県立美術館

 最後に立ち寄ったのは長野県立美術館。谷口吉生設計の建物で、外観はシンプルながらも周囲の自然や善光寺の風景と調和する佇まいが印象的でした。内部は光の取り入れ方が柔らかく、展示空間として“過剰に主張しすぎない建築”になっているのが特徴的。ただ、その分「建築的な驚き」が薄く感じられる瞬間もあり、建築学生としては少し物足りなさも…。でも、地域に開かれた美術館の在り方としては非常に誠実な解答を出しているように思いました。

論文に追われつつも、こうして弾丸旅行で外の景色や建築に触れると、新しい視点を得られる気がします。霧ケ峰での涼しい空気、善光寺門前のリノベーション的まちなみ、長野県立美術館の静かな存在感。それらはきっと、研究や設計にフィードバックされる…はず?

学生最後の夏休みをこんな形で過ごせたのは、良い気分転換になりました。さて、次は修論に戻らなければ。

M2稲葉