2025.12.07

2025.12.04 Walkable & Stayable with Mt.Fuji Project リサーチ発表会

Walkable & Stayable with Mt.Fuji Project:富士駅北口の再整備事業に合わせ、富士市と田井幹夫研究室が共同で行っている。ウォーカブルでステイアブルなまちなか空間を創出する。設置物や取り組みについて提案するプロジェクト。
第三回目は、リサーチフェースの最終発表会。「ランドマーク」、「生業」、「アクティビティ」、「歴史」の4班各テーマごとのリサーチ結果の共有とそこから想像されるデザイン案の提案を行った。
今回は、リサーチフェーズの最終発表会として4班が、各テーマごとの調査結果と、そこから想起されるデザインの方向性を共有した。

■ ランドマーク班
ランドマーク班は、富士市本町商店街の特徴的な建築意匠と景観要素の観点で富士市を捉え、建築意匠としては、メガネ型の窓、ピンク色の外壁といった”看板建築”の要素を(造形、色彩、素材)、景観要素としては、富士山や王子製紙の煙突などが興味深かった。
また、そこから想起されるデザインの方向性としては、富士山や煙突といったランドマークを“借景”として取り込むファニチャや、商店街の意匠的特徴を落とし込んだストリートファニチャのアイデアが示された。
示されたパースでは、メガネ枠の造形をしたファサードを引用したメガネ型の椅子などがあったが、ぼくはもっと抽象化すべきだと感じている。

↑ランドマーク班発表の様子。

■ 生業班
生業班は、富士市の製糸業と商店街の相互性、街区構造との関係、商店街の時代的変遷の観点で富士市を捉え、特に、本町商店街が近年衰退した要因の一つとして、商店街横に位置する王子製紙の通用門が封鎖されたことで、製糸業と商店街の結びつきが希薄になった点が興味深かった。
また、そこから想起されるデザインの方向性としては、商店街の店舗を移動式屋台として外に開いていくアイデアや、紙管を素材としたファニチャの活用など、産業との関連性を踏まえた方向性が示された。

↑生業班発表の様子。

■ アクティビティ班
アクティビティ班は、本町商店街周辺の日常と非日常(祭り、軽トラ市など)のアクティビティの差異の観点から調査し、社会人・中高生などの帰宅動線を示す「日常MAP」と、イベント開催場所と内容を示す「非日常MAP」を比較することで、街で起こる活動の重なりやギャップを可視化している点が興味深かった。
提案としては、非日常アクティビティで用いられる「バナーフラッグ」や「立て看板」といったエレメントを、日常的な商業やコミュニティの表現に転用するアイデアが挙げられた。

↑アクティビティ班発表の様子。

■ 歴史班
歴史班は、富士市の交通・都市構造・産業・水脈といった観点から、産業の発展と都市のかたち、ランドスケープの関係性を読み解いた。
特に富士市の水脈が川の氾濫などの災害史や治水に関係しているという内容が興味深かった。
提案としては、暗渠化した水脈の開渠化による親水空間の創出、川底に山形のオブジェクトを設置して水位変化を可視化し防災意識を促す仕組み、和紙のように“ひらり”とした移動型キオスクが馬車鉄道のように街を巡る仕組みなど、富士市の歴史的文脈を踏まえた多様なアイデアが示された。

↑歴史班発表の様子。

今後は、これらの調査と提案をもとに、デザインフェーズとして、デザインの観点からより、詳しく富士市中町商店街を捉え設計案を作っていく予定となっている。

M1 白瀧