2024.09.24

2024年8月28日 東京学会ゼミ遠征3日目「花重」の見学

東京学会ゼミ遠征2日目は各学会の発表を聴講したり、学会コンペの審査会を見ていたため、シーンは3日目に移ります。この日は、午前中は学会発表の聴講をして、午後から上野周辺の建築を見学しました。ここではMARU。architectureが設計された「花重」について書きます。

登録有形文化財でもある老舗花屋を、残しながらカフェ機能を加えたリノベーションのプロジェクトです。架構の連続が街から人を引き込み、誘うような奥行きを持っています。表面の錆は既存の持つ、経年でしか表現できないはずの質感を纏い、木造の連続のように見える、しかしフレームの細さが鉄骨であることを感じさせます。この建築は各年代においてそれぞれの建築技術で増築・改修が行われてきました。だからこそ現代にしかできない、現代ならではの技術をもって改修に臨みたいと模索した結果、無垢の鉄材を0.1mm以内の誤差という高精度の金属加工技術を用いた仕口を作り、組み立てるという選択をされたそうです。様々な時代の仕事の面影を感じ、それを引き継ぐというのは新築にはない、改修ならではの考え方のような気がしました。

これからの時代、新築が減少し、さらに改修するプロジェクトがが増えていきます。新築にはできず、改修にはできるもの、空間を継ぐ、技術を継ぐ、歴史を継ぐ。モダニズムにより、空間、材料が白く統一され、モノ同士のヒエラルキーを失ったとともに時間的概念も置き去りにしてしまったように感じます。今こそ、それを取り戻すタイミングなのかもしれません。そんなことを思った花重でした。

M2 滝内