2025.07.15

谷口吉生の建築空間に浸るー長野県立美術館東山魁夷館

卒業論文、修士論文の提出まで残り約2ヶ月。私たち田井幹夫研究室の学生も、徐々に研究の内容が深まってきています。

 

私は、修士論文で「谷口吉生の庇空間」を対象にその形式や内外のつながりへの影響を研究しています。

そんな中少しずつではありますが、研究の内容をより深めるために、空いている時間を見つけて谷口吉生の建築作品へ足を運んでおります。

今回は、先日見に行った「長野県立美術館東山魁夷館」の庇空間を紹介させていただきます。

外から庇を眺めると、水庭の前に雁行する深い庇が設けらえています。この庇によって建物全体の水平性が生まれています。

室内から庇を通して外を眺めると、このような風景が広がっています。

庇が水庭に向かって、深く低く設けられていることで自然と奥の緑とそれが映る池に視線が誘導されます。室内であるものの、外部空間と繋がっているように感じます。また、見方を変えると、窓から見える景色が絵画の1枚のようにも感じ、とても穏やかな気持ちになります。他のお客さんを足を止めて、この景色を眺めていました。

 

庇裏にも水面が映り、ゆらゆらと揺れる様子がとても綺麗でした。

緩やかに内外を繋げると共に、緻密で繊細な谷口吉生ならではの空間は、私自身が目指したい建築の一つでもあります。

この訪問を通して、本来の庇としての雨避けや日射遮蔽以外の可能性をより感じることができました。

今後も、他の谷口吉生の建築作品を巡りながら、修士論文に深みを加えていきたいです。

 

M2 鈴木