2022.10.26 篠原一男の最初の公共建築へ
先日、長野県松本市にある篠原一男が設計した、日本浮世絵博物館に行ってきました。この博物館は1982年に開館し、篠原一男が最初に設計した公共建築として知られています。
周辺は田畑が広がっており、その中に突如幾何学的な打ち放しコンクリートとガラスサッシのボリュームが立ち上がっています。ファサードのガラスは周囲の様子や、松本市を取り囲む遠くの山々の風景を映し出していて、建築と風景の一体感を感じさせます。
RC造の6つのボックスを連続させた構成になっています。小さな奥まったボックスのエントランスを進むと大空間に出ます。幾何学的なガラス窓は外の風景を断片的に切り取り、曲線によって自然と視線が向けられます。空間に対して45度の角度に振ったRC梁は構造の力強さと繊細さを兼ね備えています。
シンプルな素材と純粋な図形からなる空間はとても美しいと感じた一方で、利用者が少なく、作品展示空間が乏しいのが、どこか悲しくもありました。
田井幹夫研究室B4 滝内裕大