2026.10.13

2026.6.21-7.10 Hands Together Project 2026 活動報告4

最終回の第4回は、本ワークショップの最終行程として、同国最大の水域であるトレンサップ湖の水上集落と、首都プノンペンにおける都市建築を視察した内容をレポートします。
■トレンサップ湖の水上集落
トンレサップ湖は、東南アジア最大の湖であり、クメール語で巨大な淡水湖(sap)と川(tonlé)という意意味を持っています。また、湖の大きさですが雨季と乾季で面積が異なり、乾季の間は、水深が1mほどしかなくまた、面積は、面積は2500平方km(琵琶湖の4倍程度)しかありません。しかし5月半ばから11月半ばの雨季には、プノンペン付近でメコン川に流れ込むトンレサップ川が逆流し、周囲の土地と森を水浸しにしながら面積は約6倍、1万6000平方kmまで拡大し、深度も9mに達するそうです。
このように湖の大きさと深さが変化することからそこに建つ建築もその水深に対応するように進化しています。
トレンサップ湖は、東南アジア最大の湖であり、クメール語で巨大な淡水湖(sap)と川(tonlé)という意味を持っています。湖の大きさは雨季と乾季で異なり、乾季の間は水深が1mほどでまた、面積は2500平方km(琵琶湖の4倍程度)です。これでも十分に大きいですが、5月半ばから11月半ばの雨季には面積は6倍、16000平方kmまで拡大し、水深も9mに達するそうです。
今回視察した水上村はこのような地理的状況を反映したような建物です。
私たちが尾と擦れた村は雨季の最高水位を想定した地上高6m前後の高床構造で、訪れた時期は雨季でしたが水没しておらず建築全体を見ることができました。 当地域は、近年になり電化が行われたものの、インフラはいまだに発展途上で高床建築も素朴な掘っ立て柱に木造架構にトタン板を張ったような簡素なつくりでした。
ガイドの話によると耐用年数は15年ほどであり、大工のような技術者がいるというよりも村の中でみんなで集まって作るような感じであるそうです。
まるで秘密基地のような簡素なつくりでこれが人の生活の場であることに驚くとともに月並みですが、良くも悪くも建築物というものが、「つくりもの」の延長であることを感じました。

↑高床の住居。これらは住民同士でつくられているとのこと。

↑学校も高床である

↑村の様子。

■首都プノンペンにおける建築
セルフビルドワークショップの敷地であるバッタンバン州からアンコールワットのあるシェムリアップを訪れ、最後は首都プノンペンを視察しました。首都プノンペンでは、主にヴァン・モリヴァン(Vann Molyvann)の作品群と、近年の過度な海外資本主導による都市開発の現場を視察しました。
・ ヴァン・モリヴァン邸(Molyvann House)
プノンペンの毛沢東通りに面する3階建てのRC建築
1階部分のブリーズ・ソレイユ(日よけ)や3階屋上の水平連続窓、などの造形は、モダニズムの影響を強く受ける造形でした。
一方で、透水性のある煉瓦(カンボジアではよく流通している)を用いた二重壁や雨樋などの雨仕舞は熱帯気候に対する独自の造形が見られました。

↑ ヴァン・モリヴァン邸(Molyvann House)

↑ ヴァン・モリヴァン邸(Molyvann House)3階より見るプノンペンの街並み。
・プノンペン・オリンピックスタジアム
8,000人収容の屋内競技場、70,000人収容の屋外競技場、などからなる複合的なスポーツ施設です。ここでオリンピックが開催されてはおりませんが市民からはオリンピックスタジアムと親しまれているようです。
屋内競技場は、一辺約70mの大屋根を4本の主柱で支持する、キャンチレバー構造により構成されており、客席の部分は、建具がなく外気とつながっています。また建築外周部には水庭が設置されており、大屋根の大量の雨水の排水として機能するとともに気化熱による温度調整も兼ねていると推察されます。
柱などの型枠跡や年代などを考えるとこれらは、PC部材ではなく、現場打コンクリートであると考えられるがこのような複雑な造形物をどのような型枠を組んで施工したのか気になった。

↑プノンペン・オリンピックスタジアム

↑プノンペン・オリンピックスタジアム内観。

・巨大廃墟集合住宅
ある意味最も強い違和感を感じたのがスタジアム近傍に位置する20階建て以上の大規模集合住宅群です。
これらは、おそらく中華資本による巨大な都市開発の中で建てられたものであると思われますが、外観はきれいなものの人の気配がないことから少し気になって内部を見学しました。
平面構成は、いわゆる中廊下型で同一住戸の機械的な反覆と積層によって構成された高密度開発であり、中央には巨大な吹き抜け空間が配置されていました。住戸棟とショッピングモールからなる店舗棟の2棟構成で連絡通路は「rainbow bridge」と名つけられていたりカラフルな色彩が用いられ、床や扉は高価な建材が使われているものの人がほとんど入居していないこともあって不気味さを感じました。
平面構成は少し単調さを感じたものの素材や収まりの精度はよくしっかりとした建物でしたが人がいない状態は不気味さと少し周辺に対しても圧迫感を感じました。

↑巨大廃墟集合住宅外観

↑巨大廃墟集合住宅内観

今回のプロジェクトを通じ私は、建築と社会の関係に強いショックを感じました。
一方では、monでの小学校やトレンサップ湖の水上集落のような建物は、雨風が防げればいい程度の収まりと、地域みんなが協力でつくるというあり方が建築が個人の所有物ではなくあるコミュニティのシステムであるようなあり方。
一方ではプノンペンでの海外資本の巨大資本による投資の対象としての彫刻として投げ出された在り方。
これは、ポルポト政権という特殊な社会環境によって表出した極端例ではあるが、この経験から建築それ自体への興味というよりも気候風土だけではなくて、経済的なものや政治的なものからなる社会環境との関係について興味を持つようになりました。

M2 白瀧昌寛