2025.04.29

2025.4.29_修士論文中間報告を終えて

425日(金)に修士論文中間報告会が開催され、M23名が参加しました。

私は現在、環境的中間領域の一つである「サンルーム」に着目し、論文の執筆に向けて調査を進めています。

かつてのサンルームは、ガラスで空間を囲うことで外部環境と内部環境を調整する中間領域として機能しており、冬季には屋内にいながら日光浴や植物栽培、洗濯物の乾燥などの屋外的活動を可能にする空間でもありました。また、玄関に隣接して設けることで客間としても活用されるなど、多様な役割を果たしていました。

しかし近年では、サンルームに全面ガラス張りの空間的特徴が見られない事例も増え、また、住宅外周部に配置されるケースも必ずしも一般的ではなくなっています。さらに、トップライトによって日光が差し込む室内空間を「サンルーム」と称する例も見受けられるようになっています。

このような変化を受け、サンルームは本来の「外部と内部の緩衝領域」としての性質を保持しつつも、空間的にはより「内部化」されてきているのではないかと考えています。内部化が進行することで、特に採光量においても減少傾向が見られる可能性があると仮説を立てました。

本研究では、まず①サンルームの空間的特徴および配置傾向の分析、②空間におけるアクティビティの分析、③採光率および採光面数の分析を行ったうえで、最終的に❶空間とアクティビティの関連性、❷空間・アクティビティと採光量との相関関係を明らかにすることを目的としています。

中間報告会では、副査より、配置傾向の分析において方位情報を明確に示すこと、また寒冷地と温暖地でサンルームの性質に違いが見られる可能性があるため、地域別に分類して検討する必要があるとのご指摘をいただきました。さらに、現状の論文内容が表層的であり、より深掘りした分析が求められるとの助言も頂きました。

この指摘を受け、今後は特に最終分析において多角的な視点からの調査を意識し、研究の深みを増していきたいと考えています。たとえば、アクティビティと採光量の分析において、凸型のサンルームでは日照量が多いために特定の活動(例:植物栽培、日光浴)が優位に行われる傾向が見られる。または寒冷地のサンルームでは採光面数が多く、玄関近傍に設けられる傾向があり、その結果、接客空間としての機能を兼ねるケースが多いのではないか、といったように常に自分の中で新たに仮説を持ちながら検証を行っていく予定です。

また、今回参加した他の2名に対しても、指導教員より、各自のテーマについてさらに掘り下げた分析・考察を進めるようコメントがありました。今後は、各自が研究方法や分析手法を工夫し、より深みのある論文となるよう努力していく必要があると感じています。

また研究室では9月末を修士論文提出の締め切りとしています。残りの期間、いただいた指摘を一つひとつ丁寧に反映しながら、研究の精度を高め、論文完成に向けて全力で取り組んでいきます!

 

M2 中川