2017年前期 図学 第3課題 優秀作品
図学の第3課題は、コルビュジェのサヴォア邸の透視図を描くという課題である。前段として、学生はまず1つの直方体の透視図を描く方法を学ぶ。紙の上に直方体の配置を設定し、次いで、その直方体を見る視点の位置、高さ、投影する画面の位置を設定すれば直方体の透視図を作図することができる。この直方体の透視図を作図するためには、まず、3次元空間内の1つの点の透視図を求める手順を理解することが必要である。点の透視図が描ければ、8カ所の点の透視図を求めることで直方体が描かれるからである。この方法を直接法という。コンピュータで3次元モデルから透視図を描画する方法は、この直接法のアルゴリズムをモデルのすべての頂点(vertex)に作用させることで導いている。ここではそのアルゴリズムを、紙の上で手作業で実行する。
透視図を描画する方法として消失点を使う方法が参考書などでは記載されているが、ここではあまり重視していない。あくまで補助的な利用にとどめている。消失点法はあくまで直角で構成された稜を持つ形態にしか有効でないし、現在では透視図の作成にはコンピュータを利用することが多いからだ。であるから、愚直に直接法で点を取るという方法をしっかり学んで欲しいと思う。サヴォア邸の屋上の曲面は、数カ所の代表的な点を直接法で作図して、それらを近似的に曲線でつなぐという方法でしか描けないのだから。
こうしてトレーシングペーパーの上にサヴォア邸のアウトラインを完成させる。それを拡大コピーして水彩紙(ワトソン紙)に転写する。そして樹木や人物などの点景を描き、陰影を施し、水彩で着色し、絵として完成させる。講評会も含めて5週間の日程でこの演習を行った。以下は優秀作品15点である。採点は脇坂先生、長尾先生、私の3名の合議にて行った。
作品の画像をクリックすれば別画面で拡大して表示されます。
参考に、近代建築や新古典主義の時代の巨匠たちによる透視図を載せておこう。